3.物価・金融政策・長期金利の動向
【物価】消費者物価(前年同月比)の総合指数は既にピークアウト、24年末に向けて緩やかに低下
消費者物価(前年同月比)の総合指数は22年6月に+9.1%と40年半ぶりの水準に上昇したものの、その後は低下基調が持続している(前掲図表4)。22年10月の中身をみると、原油価格の下落などからエネルギー価格指数は22年6月の+41.6%から+17.6%に大幅な低下が続いているほか、食料品価格も+10.9%と水準は依然として高いものの、2ヵ月連続で低下した(図表18)。このため、総合指数は既にピークアウトした可能性が高い。
また、コア財価格指数は+5.1%と22年2月の+12.3%をピークに低下基調が持続している。とくに、半導体不足に伴う自動車生産の落ち込みで、これまでコア財価格を押し上げていた中古車や新車価格が、半導体不足の解消に伴う自動車生産の回復から低下に転じていることが大きい。実際に、10月は中古車価格が+2.0%と22年2月の+41.2%から大幅に低下したほか、新車価格も+8.4%と22年4月の+13.2%から低下基調が持続している。この傾向は暫く続きコア財価格を押し下げよう。
最後に、コアサービス価格は+6.7%と依然として上昇基調が持続している。コアサービス価格の6割と大きなウェイトを占める住居費が+6.9%と上昇に歯止めが掛かっていないほか、コアサービス価格と連動性の高い賃金上昇率が前述のように労働需給の逼迫を背景に高止まりしていることが大きい。もっとも、CPIの住居費のうち、家賃価格に12ヵ月先行する傾向があるオンライン不動産データベースを運用するZillowの家賃指数(ZORI)は前年同月比の伸びが今年2月に+17.1%とピークをつけて10月には+9.6%まで低下していることから、来年春先にも住居費は低下基調に転じる可能性が高い。このため、コア価格指数も来年春先以降は低下基調が明確になろう。
一方、インフレ高進の要因の1つとなっている供給制約については、世界サプライチェーン圧力指数が21年12月に過去の平均からの標準偏差が4.3となった後、11月が1.2と急速に低下してきており、供給制約の回復を示しているものの、9月の0.9からは小幅ながら2ヵ月連続で上昇に転じており、足元で回復の足踏みがみられる(図表19)。今後も供給制約は回復が続くとみられるものの、新型コロナの感染拡大に伴う中国のゼロコロナ政策の影響で再びグローバルサプライチェーンに混乱がみられるのか供給制約の回復動向みる上で注目される。
当研究所は原油価格が足元の70ドル台前半から23年末に89ドル、24年末に90ドルに緩やかに上昇すると予想しているものの、22年の平均価格の98ドルから前年同月比でみたエネルギー価格の伸びは2桁のマイナスが見込まれるほか、24年も小幅なプラスに留まると予想している。
このため、消費者物価は前年同月比でみたエネルギー価格の低下に加え、供給制約の緩やか回復などから、消費者物価の総合指数(前年比)は22年見込の+8.1%から23年は+4.1%、24年は+2.4%に低下すると予想する。
もっとも、ウクライナ侵攻に伴うエネルギーや食料品価格、新型コロナの感染動向などインフレを取り巻く環境は不透明であり、今後のインフレ見通しは非常に不透明である。
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