(写真はイメージです/PIXTA)

共働きが増加した現在、年収1,500万円以上の夫がいる家庭のなかで、妻も働いている家庭は6割超といわれています。なかでも昨今注目を浴びているのは、夫婦ともに年収700万円以上の「パワーカップル」や、「パワーカップル」であり子育て世帯である「パワーファミリー」といった存在。本稿では、ニッセイ基礎研究所の久我尚子氏が、消費経済をけん引する彼らの実態と今後の動向について詳しく解説します。

増加傾向のパワーカップル・パワーファミリー、数は少ないが消費のけん引役として注目

若い世代で共働きが一般的になりつつある中で、夫婦ともに高収入のパワーカップル※1(夫婦ともに年収700万円以上の共働き夫婦)が増加傾向にある。世帯数としては2024年で45万世帯に達し(総世帯の約1%、共働き世帯の約3%※2)、消費者全体からすればニッチな層にも見えるものの、不動産市場をはじめとする消費の牽引役として知られている。

 

特に、パワーカップルの約7割は子育て世帯でもあり、パワーファミリーとして不動産に加え、教育や旅行など幅広い領域での消費が注目されている。物価高で個人消費が低迷する中、活発な消費者層としても期待が寄せられる。

これまでも定期的にパワーカップル世帯の動向について分析しているが※3、本稿では、あらためて統計の最新値を用いて、まず総世帯の所得分布の全体像などを捉えた上で、共働き世帯であるパワーカップル世帯の動向に注目する。

 

※1 一定の裁量を持つ年収水準であることや所得税の税率区分などを考慮し、夫婦ともにおおむね年収700万円以上と定義。

※2 総務省「令和6年労働力調査」にて夫婦共に年収700万円以上の世帯は45万世帯、夫婦ともに就業者の世帯は1,553万世帯、厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」にて総世帯は5,445万世帯

※3 久我尚子「パワーカップル世帯の動向-2023年で40万世帯、10年で2倍へ増加、子育て世帯が6割」、ニッセイ基礎研究所、基礎研レポート(2024/4/19)など。

年間平均所得は524万円、1,200万円以上は6.8%、南関東や都市部で多い

厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」によると、総世帯の年間平均所得金額は524.2万円、中央値は405万円である※1。パワーカップルが含まれる高所得世帯に注目すると、1,200~1,500万円未満は全体の3.6%(169万世帯)、1,500~2,000万円未満は1.9%(88万世帯)、2,000万円以上は1.3%(59万世帯)を占める(図表1)。

 

出所:厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」
[図表1]所得金額階級別に見た世帯数の割合 出所:厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」

 

地域別に見ると、1,200万円以上の世帯は南関東(35.1%)や近畿(13.6%)、東海(13.0%)で多く、これらの3地域で約6割を占める(図表2)。

 

出所:
[図表2]地域別に見た所得階級分布 出所:厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」

 

また、都市規模別に見ると、1,200万円以上の世帯は大都市(政令指定都市と東京23区)が31.6%、人口15万人以上の市が31.3%、人口15万人未満の市が30.1%、郡部が7.0%を占め、高所得世帯は郡部と比べて都市部で多い(図表略)。よって、パワーカップルやパワーファミリーも南関東を中心とした都市部に多く居住していると見られる。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2025年03月24日に公開したレポートを転載したものです。

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