(※写真はイメージです/PIXTA)

仕事をやめるとあっという間にボケが始まったり、病気になったりすることも多いのです。脳と身体は使わなくなったら、退化していき、高齢になるとそのスピードは加速していきます。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)で解説します。

毎日が日曜日の高齢者は老いが加速する

■80代、90代を元気に過ごすために、よい習慣をつくっておこう

 

とりあえず毎日出勤する予定がないと、ついついグータラとしてしまいませんか。毎日が日曜日もいいかもしれませんが、それでは老いの加速が速くなるだけです。

 

風邪をひいたり体調を崩したりして、2、3日寝込むこともあるでしょう。まだ70代の方ですが、3日目に朝のトイレに起きたら足が絡まって転倒してしまったそうです。2日か3日寝込むだけで筋肉が落ちているのです。

 

具合が悪いときに動きなさいとは言いませんが、よくなったらゴロゴロしていないで少しずつ動くようにしてほしいです。

 

90歳近い元整体師さんが、大腿骨頸部骨折で入院されました。その方は手術を受けると、ベッドに寝ながら自分の足を動かし、ひとりリハビリをしていたそうです。歩けるようになってとても早く退院したとドクターはびっくりしていましたが、やはり元整体師さんだけあって身体の構造がわかっているから、リハビリに前向きになれたのでしょう。

 

最近は、ネットの配信で世界中の映画やドラマが観られます。趣味を持つことをアドバイスしたら、すっかり韓国ドラマにはまって、朝から晩まで観ていて運動不足になった方もいました。

 

そのため、私はみなさんに、子どもに戻ったつもりで時間割をつくることをおすすめします。

 

食事時間を決める。忙しくても食欲がなくても、毎日同じ時間に何かを胃に入れることで調子が整います。お日さまの出ている時間に散歩する。趣味の時間を決める。外出した日は、あれもこれも欲張らないでゆっくり休む。

 

生活するということは、ルーティンだらけです。

 

ゴミを捨て、洗濯し、掃除をします。病気をしたり、意欲がなくなったりすると、あっという間に家事ができなくなります。汚い場所に住むと、それが平気になっていきます。ゴミ屋敷になってしまうリスクというのは、実際に私たちの中に潜んでいるのです。特別、変わった人の話ではありません。

 

ですから、私たちはルーティンを大事にして、自分らしく生きていくための生活習慣をつくっていかなくてはいけないのです。

 

和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

 

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本連載は和田秀樹氏の著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

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和田 秀樹

廣済堂出版

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