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老いても元気なのは好奇心をなくさない人
■老いると、人は詩人になる
まど・みちおさんは、詩人です。2014年に104歳でなくなりました。
名前は知らなくても、童謡の「ぞうさん」「ふしぎなポケット」「一ねんせい になったら」「やぎさんゆうびん」など、みなさんもよく知っている歌詞を書いた人です。
まどさんは、童謡の作詞家として知られていましたが、58歳で初めて自分の詩集を出しました。
そして、亡くなるまで詩を書いていました。絵を描くのも好きで、入院中もベッドで絵を描いていたそうです。
だからといって、まどさんが、晩年までしっかりしていたわけではありません。それなりにボケて生活も大変なこともあったようです。
つぎのような詩もあります。
<「トンチンカン夫婦」
満91歳のボケじじいの私と
満84歳のボケばばあの女房とはこの頃
毎日競争でトンチンカンをやり合っている
私が片足に2枚かさねてはいたまま
もう片足の靴下が見つからないと騒ぐと
彼女は米も入れてない炊飯器に
スイッチ入れてごはんですようと私をよぶ
おかげでさくばくたる老夫婦の暮らしに
笑いはたえずこれぞ天の恵みと
(後半 略)
まど・みちお『いわずにおれない』(集英社)より>
まどさんには、ボケた自分を笑う余裕があります。それもまた面白いと夫婦で笑い合うとは素敵です。なかなかこの境地にはいきません。
私にも老いは未知なものです。ただ、老いると自然が身近に感じて感覚が研ぎ澄まされてくるようなところがあると感じます。ボケるごとに、自然を感受する力が増してくるとでもいうのでしょうか。
ときどき、ラジオを聞いていると、リスナーの高齢者さんからのお便りに詩のようにしみじみすることがあります。忙しい勤め人のときは見向きもしなかった、道端の草や飛ぶ鳥に目を向ける余裕が出てくるのです。
まどさんの『いわずにおれない』に、つぎのようなことが書かれていました。
若い人は若いなりに、中年は中年なりに、年寄りは年寄りなりに、その年齢なりの発見が必ずあるんじゃないかなぁ。ぼんやり見過ごさずに一生懸命見れば、この世の中にハッとすることは無限に存在し続ける。そして、自分を震えさせてくれるものがあれば、詩は生まれてくるんだと思います。
私はこれだと思いました。
老いる自分というのは未知の世界です。誰もが不安になり、心配になります。でも自分がどう老いていくか、老いていく自分は世界がどう見えるかわくわくする人たちもいます。
「どういう人が老いても元気ですか」と聞かれたら、好奇心をなくさない人だと答えたいと思います。
自分にも世界にも関心をなくさないで、何が起こっているか、見つめて考えるということです。
老いれば、時間だけはできるでしょう。
あなたも私も詩人になれるはずです。病気のことばかり考えないで、楽しいことをたくさん見つけてほしいと思います。