前頭葉が大好物なものは「好奇心」
■カレンダーの予定が病院だけになっていませんか?
出かける予定を積極的につくっていきましょう。
「出かける予定は、病院だけ」という方が少なからずいらっしゃいます。今日は内科、来週は整形外科、月末は眼科に行かなくちゃと、カレンダーに大きく丸印をつけています。
よくある笑い話に「体調悪いから病院へ行けない」という話がありますから、ひとりで病院へ行けるのはむしろ喜ばしいことです。でも、予定が病院へ行くだけになっていませんか。
カレンダーに、病院以外の予定を入れてみてほしいと思います。
寄席に行く、映画へ行くでもいいですし、自治体の広報を見ると、いろいろな講座の案内が出ています。たまには、全然興味はなかった話を聞きに行くのもいいかもしれません。
ある男性は、「男女共同参画事業」のジェンダー講座を、つい興味本位で受けてしまったそうです。
男性受講生はただひとりでした。はじめは肩身が狭くてすぐにやめようとしましたが、女性たちに励まされ、通い続けて、新しい学問を吸収していき、元気になったそうです。
家にだけいると出会いもありません。仲のよい友達は病気をしたり、孫の世話で忙しかったりします。マンション住まいだと、ご近所でのお茶飲みもないでしょう。
だったら、自分に好奇心のアンテナを立てて、ひっかかったものを覗いてみましょう。
前頭葉が大好物なものは「好奇心」です。
詩人の茨木のり子さんの「自分の感受性くらい」という有名な詩があります。
「自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ」
という最後のフレーズだけ暗記していましたが、再読してみて、これは高齢者へ向けての詩だと思いました。いままで若い人のための詩だと思っていたのです。ぜひみなさんも読んでみてほしいと思います。
好奇心も感受性も、人がどうこうしてくれるものではないのです。自分で大事にして水やりしていかなければなりません。
「病院に行ったついでに、美味しいランチをひとりで楽しんでくる」
「病院の帰りに映画を観てくる」
そんなふうに病院と抱き合わせで予定を立てるのもいいかもしれません。
要は、いろいろな計画を立てることに頭を使うのがいいのです。
ひとつ注意したいのは、世の中には現役時代の癖が抜けない人もいるということです。カレンダーに予定を入れなさいとアドバイスすると、カレンダーにびっしり予定を入れる人がいます。
それで疲れては元も子もないのですから、何ごともほどほどに楽しめる範囲で動いていきましょう。
和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長
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