(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅取得は多くの家庭にとって人生最大の買い物です。しかし近年、定年後も住宅ローンを返済し続ける世帯が珍しくありません。住宅金融支援機構『2023年度 住宅ローン利用者の実態調査』によれば、借入期間は30年以上が主流で、完済年齢が70歳を超えるケースも一定数存在します。長寿化が進む一方、収入が減少する老後に固定的な返済が残ることは、家計に大きな影響を及ぼします。

「完済は80歳」…想定外だった返済スケジュール

「定年までには終わるはずだったんです」

 

そう語るのは、神奈川県在住の中山和彦さん(仮名・59歳)。メーカー勤務で年収は約700万円。妻はパート勤務、子どもはすでに独立しています。

 

15年前、44歳のときに4,200万円の新築マンションを購入しました。頭金は500万円、残りを35年ローンで借り入れ。変動金利型を選択し、月々の返済額は約11万円でした。

 

「当時は共働きでしたし、ボーナスも安定していた。65歳前には繰り上げ返済して終わらせるつもりでした」

 

ところが、子どもの大学進学費用や親の介護費用が重なり、繰り上げ返済は見送りに。さらに物価上昇と金利環境の変化で、将来的な返済負担への不安も高まりました。

 

現在の返済予定表を見ると、完済は80歳時点。定年後も15年間、毎月の返済が続く計算です。

 

「年金生活になっても、毎月11万円。正直、ぞっとしました」

 

国税庁『令和6年分 民間給与実態統計調査』によれば、55~59歳男性の平均給与は735万円。中山さんの年収700万円はほぼ平均水準といえる収入です。

 

しかし、可処分所得から住宅ローン、管理費、固定資産税、保険料を差し引くと、貯蓄に回せる額は限られます。

 

総務省『家計調査(2024年)』によると、60歳以上の無職世帯(夫婦のみ)の平均消費支出は月約25.6万円。公的年金収入だけでは不足が生じる世帯も少なくありません。

 

「退職後の年金見込みは、夫婦で月22万円ほど。そこからローン11万円を引いたら、生活費は残り11万円。現実的じゃないですよね」

 

住宅ローンは原則として契約通りの返済が必要です。ただし、金融機関との相談により、返済期間の延長や一時的な返済額の減額といった“条件変更”が認められる場合もあります。

 

また、住宅ローンには団体信用生命保険(団信)が付帯しているケースが多く、契約者が死亡または高度障害となった場合は残債が弁済されます。ただし、老後の収入減少そのものは保障対象ではありません。

 

「売却も考えました。でも築15年で、購入時より価格は下がっています。売ってもローンが残る可能性がある」

 

いわゆる“オーバーローン”状態になれば、住み替えも容易ではありません。

 

 \3月20日(金)-22日(日)限定配信/
 調査官は重加算税をかけたがる 
相続税の「税務調査」の実態と対処法

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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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