「教えない教室」の子どもたちがトップ進学校に合格できる理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

教えず、教材のパズルに取り組んで、考えさせます。この手法で、子どもたちの思考力が高まり、その思考力は算数以外の科目にも波及するのだそうです。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)で解説します。

よりよく生きるには自分で考えること

宮本哲也さんにインタビューをしました。ここに大切なメッセージが詰まっています。

 

──授業で教えない、一切会話がないのはなぜですか。

 

宮本 余計だからです。そういうのは雑音になってしまいます。子どもの解きたいという学習本能を妨げることになります。面白い問題さえあれば、勝手に頭を使う。大事なのは解けることではないし、説明が分かることでもない。頭を使うことです。それだけが大事です。

 

──子どもに自分の頭を使わせることが、なぜ大事なのですか。

 

宮本 それはもう、自分の人生を自分らしく生きるためには必要じゃないですか。それ以外に自分らしく生きる方法はありません。

 

──今の教育はどこが良くないと思いますか。

 

宮本 一番良くないのは自分で考えないことです。人任せです。どうすればうまくいくのかを考えるな。うまくやろうとするな。ただ、ひたむきにやれば、それでいいんです。

 

──自分で考えるとどんな得があるのですか。

 

宮本 損得ではなくて、よりよく生きるためには、自分で考えることが必要なんです。損得があるとすれば、自分で考え、自分が成長することが唯一の得です。

 

──なぜ高校を中退したのですか。

 

宮本 つまらなかったからです。大学に行くには高校に行かなければならないと思っていたけれど、大検の存在を知ってやめてもいいんだと。じゃあ、自分で勉強しようと思いました。高校が想像以上にくだらないから、時間がもったいないと、ひとりで勉強したいな、と考えました。

 

──本当に高校を中退してしまったんですね。

 

宮本 時間がもったいないじゃないですか。当時、20歳になるのが怖くてしょうがなかったんです。こんなのでは、まともな大人になれるわけないなと。勉強以外に身を立てる方法が思いつきませんでした。運動はできないし、芸術的才能は何もない。勉強しかないと。実は勉強も可能性を感じなかったけど、消去法で考えると勉強以外になかったんです。

 

──大検合格までに死にたいなどと思ったことはありますか。

 

宮本 山ほどあります。毎日ある。あー、うまくいかない。生きていてもしょうがないとか。

 

でも勉強すれば、あっち側の世界に行けるんじゃないかと、14歳の時に思ったんです。そこから独学を始めました。学校の勉強はくだらないから、賢くなれないから、いらないと。中間テスト、期末テストなどの勉強に意味を感じませんでした。それで、独学を始めました。

 

──高校を中退して大検にパスして、得たモノは何ですか。自信ですか。

 

宮本 自信なんか今でも一瞬たりとも持ったことないです。得たモノは、時間、自分。自分と向き合うということ。

 

──自分の頭で考えることが大事だと気付いたのはいつですか。

 

宮本 14歳。自分の周りに大した大人がいないと気付きました。学校の先生を含めて。こういう大人にならないためには、見ざる、言わざる、聞かざる。反抗するのもエネルギーの無駄遣いだと思いました。

 

──魅力ある大人がいなかったのですか。

 

宮本 ひとりもいませんでした。本を山ほど読んで、自分の知らない世界があると知りました。そこに行くには唯一、勉強することだと。高校をやめた後、年間300冊くらい読みました。

 

岡田 豊
ジャーナリスト

 

 

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    ジャーナリスト

    1964年、群馬県高崎市生まれ。日本経済新聞記者を経て1991年から共同通信記者。山口支局、大阪支社、経済部。阪神淡路大震災、大蔵省接待汚職事件、不良債権問題、金融危機など取材。2000年からテレビ朝日記者。経済部、外報部、災害放送担当(民放連災害放送専門部会委員)、福島原発事故担当、ANNスーパーJチャンネル・プロデューサー、副編集長、記者コラム「報道ブーメラン」編集長、コメンテーター、ニューヨーク支局長、アメリカ総局長(テレビ朝日アメリカ取締役上級副社長)。トランプ氏が勝利した2016年の米大統領選挙や激変するアメリカを取材。共著『自立のスタイルブック「豊かさ創世記」45人の物語』(共同通信社)など

    著者紹介

    連載自分の頭で考える、自分のやり方を考える

    本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)より一部を抜粋し、再編集したものです。

    自考

    自考

    岡田 豊

    プレジデント社

    アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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