(※写真はイメージです/PIXTA)

安定のイメージが強い公務員。なかでも国家公務員は、年金額や退職金額も高いケースも多く、ひと昔前までは「絶対安泰」といったイメージも。しかし現在では、定年後に生活苦となる人も少なくないようです。豊富な老後資金があっても、生活苦に陥る原因とは……。本記事では、塚田さん(仮名)の事例とともに老後資金を活用した投資トラブルについて、FP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

夫婦ともに国家公務員だった最強の安泰夫婦

塚田奈津子さん(仮名/76歳)。夫の紘一(仮名)さんと20代で職場結婚し、夫婦ともに国家公務員としてのキャリアを歩んできました。

 

収入は一般の会社員と比べて大きく変わらないものの、国家公務員の共済年金を受け取り、夫婦揃って退職金は2,000万円を受け取ることができ、公的年金は夫婦合計で40万円。まさにゆとりの老後を送っていました。

 

老後のマネープランに綻びが生じたワケ

塚田さんはある日、実家の両親から相続した土地にアパート建設を勧められます。

 

実家の両親は地方に土地を保有しており、生前は畑仕事をしていましたが、両親が畑仕事ができなくなってからは塚田さんが地元に戻った際に草刈りをするなど手入れをしていました。

 

地元に帰ってきて、いつもどおり土地の草刈りをしていたとき、不動産業者の営業マンからアパート建設の話を持ち掛けられたのでした。

 

塚田さんは、その当時、2015年より相続税の制度が変わり、相続税の課税対象になる人が増えるという話を営業マンから聞きます。そして、営業マンは塚田さんの土地の価格を調べ、「このままでは相続税が発生してしまう可能性が高い」と畳みかけ、塚田さんは不安になったのです。

 

さらに、営業マンは相続税について税理士を招いてセミナーを行うので参加してはと勧めます。塚田さんはそこで相続税の説明を聴くことにしました。

 

家賃収入で年金の足しに…

セミナーに参加した税理士は相続の税制改正について話し、空き地になっている土地にアパートを建設すると相続税の評価額が下がるため有効であるという話をしました。

 

アパート経営などしたことがなかった塚田さんでしたが、税理士の話と、家賃収入がこれからの年金の足しにできればもう少し豊かな生活を送ることもできるのではと考え、アパートの建設を決めたのでした。

 

建設コストは約8,000万円、そのうち2,000万円を自己資金から支払い、6,000万円を借入れました。当初は建設コストに対して年利6%程度が見込まれていました。

 

――しかし、それから年数が経つと、塚田さんにとって予想外のことが……。

 

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