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結果を生むためには長期的な工作が不可欠
■統一戦線工作の永続性
中央統戦部の教科書によると、「外国の敵対勢力は中国の台頭を望んでいない。彼らは中国を潜在的な脅威、競争相手とみなし続け、我々を封じこめ、抑圧するために可能なことはすべて試みている。それらは中国の安全と中核的利益を深刻に脅かしている」と主張している。
中共は、西側の政治的、社会的、経済的秩序を支える自由で民主主義的な制度を、中国にとって致命的な脅威とみなしている。
中央統戦部の際立った特質は、中共存続のために実行されている、途切れることのない工作だ。党の見解では、社会階級が存在する限り、統一戦線工作の必要性がなくなることはない。中央統戦部は、党への脅威であり、指導を必要とする新しい社会集団の急増に絶えず警戒しなければならない。
つまり中央統戦部の設立は長期的な戦略に基づいているのである。中国の力が強くなったり弱くなったりしても、この政策は変わらない。言い換えれば、中国がより繁栄し、力強く成長し続け、国際安全保障環境が比較的穏やかなままであっても、中央統戦部の戦略は継続されるのである。
中央統戦部のもうひとつの特徴は、いつでも、どのような状況でも統一戦線工作がおこなわれなければならないということだ。政治戦には認識できる始まりや明確な終わりがない。ターゲットを獲得するために、中央統戦部はターゲットにアクセスし、情報を入手し、関係を築き、信頼を獲得し、永続的な関係を形成する必要がある。
これらの活動は、忍耐とリソース(人材、資金など)を必要とするだけでなく、ターゲットとの戦略的提携の構築と維持のために無期限のコミットメントが要求される。料理に譬えると、「魔法の武器としての統一戦線工作は、弱火でグツグツと食材を煮こむようなもので、成功するまでには長い時間がかかる」ということだ。
工作の多くは平時に発生し、結果を生むためには長期的な工作が不可欠だ。
統一戦線工作は、中共によるはるかに大きな政治戦の一部にすぎないことも事実だ。中央統戦部以外で政治戦に関係する組織としては、解放軍を挙げることができる。解放軍は、メディア戦、法律戦、心理戦、政治戦を展開している。
中央統戦部は、主に国内外の中国人と海外の華僑に焦点をあてて活動しているが、外国に対する影響工作の重要な組織でもある。一方、中央対外連絡部(International Liaison Department)や国家安全部(Ministry of State Security)など、ほかの党機関は、中国系外国人に私的および公的な立場で影響を与え、威嚇する役割を果たしている。