親中国派閥は自民党の田中派・竹下派
■日本における工作組織
日本での中央統戦部の活動についてはあまり公表されてこなかったが、その存在自体は日本の公安警察や米国の国防情報局(DIA)などでもかなり把握されている。ワシントン所在の研究機関「ジェームズタウン財団」によって作成された調査報告書『日本での中国共産党の影響工作の予備調査』は、日本における中央統戦部の活動を紹介している。その骨子は以下の通りだ。
▶政治戦の重要な要素はプロパガンダの普及であり、外国におけるプロパガンダのもっとも効果的なターゲットはその国の政治エリートだ。政治エリートは権力を行使し、中共の利益に直接影響する政策決定を下すことができるためだ。
日本の政治システムでもっとも強力な親中国派閥は歴史的に自民党の田中派・竹下派であった。イデオロギー上の理由、経済的および政治的理由のために中共の影響を受けやすい政治グループは、創価学会をベースとする公明党、自民党内の平和主義派閥、立憲民主党の小沢一郎氏が率いる派閥だ。
▶日本では、中央統戦部の直轄組織である「中国和平統一促進会(中国和統会)」の日本組織である「日本中国和平統一促進会」が主体として活動している。関連組織として「全日本華僑華人中国和平統一促進会(全日本和統会)」や「全日本華人中国和平統一促進協議会」が存在する。
▶解放軍の対外組織である「中国国際友好連絡会(友連会)」や中共の外交支援組織、「中国人民対外友好協会」も中央統戦部と連携し、対日友好の名のもとに日本側の多様な団体、組織と活発に交流している(なお、友連会については重要な組織であり、項を改めて説明する)。
▶中央統戦部は、日本側に基盤を置く既存の日中友好団体も利用している。それらは日中友好協会、日本国際貿易促進協会、日中文化交流協会、日中経済協会、日中友好議員連盟、日中協会、日中友好会館などである。
▶以上の諸団体が中央統戦部と接触や連携のもとに活動をおこなっているが、統一戦線工作がこの種のルートで日本側の政財界のエリート層を親中にさせることを試みていることについては、報道もされている。