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ある日を境にお見舞いに来なくなった理由
入居から半年ぐらいたったある日から、ぱたっと奥さまがホームに来ることがなくなりました。ホームの生活相談員に確認すると、次のような回答が返ってきました。奥さまが、正式に法的効力のあるご主人の後見人に選出されたからです、と。つまり、ご主人の財産の管理を正式に奥さまがすることができるようになったから、ということのようでした。
企業経営者として成功をおさめたご主人には、多額の資産がありました。その資産の管理を奥さまが自由にできるように、法的な手続きをするべく、さまざまな話をご主人とホーム内でするために毎日のように来ていたのです。そういえば、頻繁に弁護士や銀行、証券会社などの専門家も奥さまと一緒に来ていたような気がします。
そして、その目的を達成した後は、「よきに計らえ」という具合にホームにすべてを任せて、ご主人は放置状態になってしまいました。数カ月後、ご主人は入院先の病院で亡くなりました。まだ、75歳でした。後見人の手続きが済んだ後、奥さまがホームに来たのは、ご主人の荷物を処分するために業者と来たのが最初で最後でした。親子ではありませんが、夫婦でも同じ現象が起きているのだと思います。
余談ですが、ホームに毎日来る家族がなぜ、迷惑な存在なのかを記しておきます。この奥さまのケースで言うと、次の2点から迷惑な存在でした。
入居していたご主人は、脳疾患の影響で身体がマヒしています。したがって、日常生活は、全介助の状態、要介護5です。排泄、入浴、食事といった介護はフルスペックで対応します。そのようなご主人に対し、奥さまは毎日、いろいろな物を買ってはホームに持参しました。
特に、介護職員が頭を悩ませていたことは、重度の糖尿病も疾患として持っていたご主人は、主治医から食事制限を指示されていたことです。しかし、そんなことはおかまいなしの奥さまは、ご主人の好物だからと言って甘いお菓子をたくさん買ってきては、自分で食べさせてしまいます。
そのたびに、介護職員は奥さまに注意やお願いをするのですが、介護職員の注意を受け入れるはずもなく、何を言っても聞き入れてくれません。主治医は、定期的に測定している血糖値やご主人を診るたびに、看護師や介護職員に対し、しっかりと管理をしなければ、命の保証はできない、と叱責するありさまです。職員からすると迷惑な話です。
もう一つ、迷惑な話は、奥さまが、毎日、自分の存在感をご主人に示すために、介護職員に対し細かい注文を付けることです。それはまるで、時代劇の大名家の女中頭が下働きの女性をこき使うようなイメージです。窓枠を指先で撫でて、「ほこりが残っている」というような指摘をします。
そして二言目には、ご主人に聞こえるように、「お父さんは、脳疾患で身体が不自由だけれども、きれい好きなので、身の回りのことはしっかりやってほしい」と訴えます。職員としては、うんざりです。このようなケースは、けっして多くはありませんが、老人ホームで起きているひとコマではあります。
小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役
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