募集額を大幅に上回る反響…投資家が「10年超」を求める理由
不動産クラウドファンディングをはじめとする不動産小口化商品の市場は、近年、急速な拡大を遂げている。国土交通省が発表したデータによると、2024年不動産クラウドファンディングの新規出資額の推移は1,763億円に達しており、個人投資家の参入も相まって市場の裾野は着実に広がっている。
これまで、この市場の主流は「数ヵ月から1、2年」といった短期案件。投資家にとっては資金の回転が速いことがメリットとされてきたが、ここにきて投資家の心理に異変が生じている。
「短期運用が主流とされるこのマーケットで、あえて『10年超』という長期ファンドを組成したところ、私たちの予想を上回る非常に強い反響をいただきました」と、地主フィナンシャルアドバイザーズ株式会社の榎本龍馬代表取締役は語る。
相次ぐ短期案件の募集競争や、償還のたびに次の投資先を探さなければならない「再投資の手間」に、投資家が一種の「疲れ」を感じ始めているのかもしれない。
「せっかく償還されても、次の投資先が見つかるまで資金が寝てしまう。かといって、利回りだけを見てリスクの高い物件に手を出すのは避けたい——こうしたジレンマを抱える投資家を中心に、リターンの高さよりも、ボラティリティ(変動幅)が低く手間がかからない『長期・安定』へのニーズが顕在化しているのではないか、と考えています」
榎本氏も、約2年前の運用期間13年超とした1号案件組成時を振り返り、さらに続ける。
「当時は13年という超長期設定に対し、『長すぎる』という反応もありました。当時は本来の不動産投資の目的である『長期投資』を志向する方がまだ少なかった印象です。しかし、2年間の継続的な発信と実績の積み上げにより、不動産本来の持ち味である『長期投資』の価値を理解し、それをポートフォリオのコアに据えたいと考える投資家が確実に増えてきたと実感しています」
「地主倶楽部」が常識を覆せる理由
投資家からのニーズが高まっている一方で、他社による「10年超」のファンド事例は、依然として限定的だ。なぜ、他の事業者はこうした長期商品を組成しにくいのか。榎本氏は、そこには事業者の構造的な課題があると分析する。
「そもそも不動産クラウドファンディングは、プロが行う開発や再生といった不動産投資に相乗りする形で組成されるケースが多いのです。そのため、自社のプロジェクトの回転に合わせて、短〜中期の案件に偏重する傾向があります。一方で当社は、投資家に『長期的な資産形成に参加できる機会を提供する』ことを本来の目的に据えています。私たちは、最初から 、一般投資家の方々も含めた長期の共同投資を前提とし、その視点で投資対象の選定や商品設計を行っているのです」
また、物理的なリスクという面でも、建物付きの不動産ファンドでは「10年超」の安定運用を設計すること自体が構造的に難しいという側面がある。
「一般的な不動産投資におけるリスクの多くは、『建物』に由来します。老朽化による資産価値の減少、修繕費の突発的な増大、テナントの退去、さらには地震などの自然災害——。これらの不確定要素があるなかで、10年、15年先の想定利回りを安定的に描き続けることは、非常に困難なのです」
地主倶楽部が扱う「底地」は、こうした建物所有に伴う様々な変動要素を抑えた設計となっている。建物を持たず土地のみに投資し、そこにテナントが自ら建物を建てる「JINUSHIビジネス」という独自の不動産投資手法を用いているからだ。
「JINUSHIビジネスは土地のみに投資するため、建物の維持管理費が一切不要です。 また、私たちが契約を結ぶのは信用力の高い優良企業が中心です。さらに『事業用定期借地権』という法制度に基づき、10年から50年という極めて長期の契約を締結していますので、空室リスクも低減されます。この強固な法的枠組みとテナントの信用力があるからこそ、10年先の想定利回りを掲げることができるのです。これがJINUSHIビジネス独自の強み といえます」
加えて、地主倶楽部の案件は、鑑定評価額よりも保守的な金額で募集が行われている点も特徴だ。榎本氏は、「転用性のある土地を選ぶ、当社が外部から純粋に取得した価格かつ手数料ゼロで募集を行う、さらに弊社が劣後出資を行う、という3層のリスクヘッジを施すことで投資家の元本棄損リスクを最小限に抑える設計としています。もちろん、投資商品である以上、元本は保証されません。しかし、だからこそこうした幾重もの対策を徹底し、リスクをコントロールしているのです」と、その安全設計への自信をのぞかせる。
資産防衛の新たな選択肢…人生100年時代における「底地」の価値

昨今の不動産マーケットは、都心部の価格高騰や金利上昇の兆しなど、大きな変化の局面を迎えている。こうしたなかで、投資家はどのように資産を守り、育てていくべきなのか。榎本氏は、「BtoC(一般投資家向け)の資産運用マーケットには、今後さらに大きく成長する可能性がある」と説く。
「都心の新しいビルやマンションは、投資家同士の競合も激しく、価格も既に高水準にあります。一方で、私たちが手がけるのは生活に密着した優良な店舗などの底地です。これらは景気の変動に左右されにくく、安定した収益が見込めるアセットです。株式や上場REITといった市場環境によって価格が大きく変動する資産を『攻め』とするならば、地主倶楽部はポートフォリオの『守りの要』。まさに資産の土台として機能するのです」
人生100年時代を迎え、物価上昇が続くなかでは、単に現金を寝かせておくだけでは資産を守ることはできない。かといって、多忙な投資家にとって、日々の価格変動に一喜一憂したり、短期案件の再投資判断を繰り返したりするのは、時間という貴重な資産の浪費にもつながる。
「私たちが目指しているのは、投資家が『一度投資したら、あとは安心して放っておける』ような商品です。目先の利益を追うだけでなく、手間をかけずに資産を確実に次世代へつなぐ。そんなニーズに応えるのが、底地というアセットなのです」
地主フィナンシャルアドバイザーズでは、今後も「長期・安定」という軸をぶらすことなく、さらなる展開を計画している。
「これまでのような1口10万円から出資できるクラウドファンディング型の商品だけでなく、今後は、富裕層や資産管理会社、一般事業法人など大口投資家のみを対象とした新たな地主倶楽部の展開なども進めてまいります。このような投資家にとっても、余剰資金の運用先として、建物リスクがなく、土地という実物資産を裏付けとする地主倶楽部は非常に魅力的な選択肢になるはずです」
最後に榎本氏は、今後の展望をこう結んだ。
「私たちの目標は、一過性のブームを作ることではありません。投資家一人ひとりの人生設計に寄り添い、10年後、20年後も『あの時、地主倶楽部を選んでよかった』と思っていただけるような、誠実な運用を続けていくこと。それが、私たちの社会的責任だと考えています」
「短期・流動性」というこれまでの常識をくつがえし、10年先の安心を確保する「長期安定運用」へ。地主倶楽部が提示する「底地」という新たな選択肢は、これからの時代の資産防衛における確固たるスタンダードとなっていくに違いない。

