廊下はなぜ狭いか?…そこで働く介護職員が答えられない絶望 (※写真はイメージです/PIXTA)

なぜ、廊下は狭いのか? なぜ、廊下の手すりは2段構造になっているのか? 設計の段階でかなりの時間をかけて工夫を凝こらすケースもあります。しかし、残念なことは、そのことを外部に対し発信しないため、多くは知られることはありません。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者の小嶋勝利氏が著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)で解説します。

営繕職員との話で介護の質がわかる

■老人ホームの本当に見るべきところとは?

 

老人ホームには、さまざまなスタッフが働いています。多くの入居希望の方は、老人ホームの見学時に、介護や看護職員など介護を直接担っている職員の仕事ぶりばかりに着目してしまいがちです。しかし、重要な着目点は、それ以外のところにあるものです。

 

たとえば、営繕業務をやっている職員がいる場合は、その職員はどんな人なのか? 給食は委託なのか自前なのか? ホーム内の清掃は誰がやっているのか? ホームに配置されているケアマネジャー、生活相談員、事務職員はどのような人たちなのか? そして何より、入居者の生活の様子はどうなのか? ということです。

 

多くの老人ホームでは、営繕職員の主な仕事は、送迎時の自動車運転や設備、備品の修理や交換作業などのメンテナンス業務がほとんどです。つまり、老人ホーム内の便利屋さんです。エアコンのフィルターの清掃や車いすのパンク修理、汚物の搬出や花壇の手入れなどなどです。

 

当然、多くの入居者と接点やかかわりを持っていて、入居者の情報はもとより、介護職員などの情報も実に多くを持っています。

 

私は、老人ホームに訪問に行った時など、営繕職員を見つけては、たわいもない話をするのですが、その内容で、当該ホームの介護の質は、おおむね「わかる」と考えています。

 

「うちのホームは、感染症に気をつけているので、ホーム長から汚物の搬出は、必ず、ポリ袋を三重にして、さらに、入居者が使用しているエレベーターは使用してはダメなんですよ。だから、非常階段を使うので大変です」などと言っているホームは、しっかりしています。

 

つまり、家にたとえると、介護職員など介護を直接担当している職員は、内装や家具です。営繕職員や事務系職員は、見えない基礎や土台です。しかし、本当に良い家は、基礎や土台など見えないところまで手を抜かずしっかりできています。

 

営繕職員のような主役ではない職員まで、しっかりと介護流派が浸透していると、このホームは、自分たちのスタンスをしっかり理解し、実践しているホームだということがわかるのです。

 

そして、この流儀流派が、実は老人ホームを選ぶ時に特に重要な要因であるということになります。私は長年、老人ホームの営業戦略というテーマでセミナーをしていますが、その中で、老人ホームには「ショーウインドー化」が重要だと言ってきました。

 

しかし、なかなかスムーズに「ショーウィンドー化」に取り組む老人ホームはありません。なお、老人ホームの「ショーウィンドー化」とは、言い方を変えれば、老人ホームの流派の「見える化」ということでもあります。

 

そして、その見える化の最大のポイントは、介護職員と入居者の実態の見える化なのです。だから、老人ホームを選ぶ際は、必ず現地を確認することが重要になるのです。

 

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    株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

    (株)ASFON TRUST NETWORK常務取締役。1965年神奈川県生まれ。日本大学卒業後、不動産開発会社勤務を経て日本シルバーサービスに入社。介護付き有料老人ホーム「桜湯園」で介護職、施設長、施設開発企画業務に従事する。2006年に退職後、同社の元社員らと有料老人ホームのコンサルティング会社ASFONを設立。2010年、有料老人ホーム等の紹介センター大手「みんかい」をグループ化し、入居者ニーズに合った老人ホームの紹介に加えて、首都圏を中心に複数のホームで運営コンサルティングを行っている。老人ホームの現状と課題を知り尽くし、数多くの講演を通じて、施設の真の姿を伝え続けている。

    著者紹介

    連載失敗しない「老人ホーム選び」の鉄則

    ※本連載は小嶋勝利氏の著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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