「家にいたほうが貯まるから」実家で暮らす36歳の息子
神奈川県内で暮らす博さん(仮名・63歳)は、定年後も再雇用で働いています。年収は約410万円。妻と二人暮らしのはずでしたが、長男の亮太さん(仮名・36歳)が同居を続けています。
亮太さんは正社員として働き、年収は約420万円。生活費は月2万円のみ家に入れています。
ある日、博さんが聞きました。
「いつまでいるつもりだ」
亮太さんは笑って答えます。
「いや、ここにいるのが一番貯まるからさ」
実際、亮太さんの貯蓄は約800万円に達していました。博さん夫婦の生活費は月約26万円。光熱費・食費・住宅維持費の多くは親側が負担しています。
「食費も電気代も3人分。でも本人は気にしていない」
亮太さんは浪費家ではありません。むしろ堅実で、貯蓄を重視しています。
「無駄な家賃払う意味ないでしょ」
その言葉に、博さんは反論できませんでした。住居費の負担がないだけで、年間で数十万円以上の貯蓄差が生じます。
「合理的な部分もあるんです。でも…」
博さんは言葉を止めます。
博さんの定年は2年後。年金見込み額は夫婦で月約19万円です。総務省『家計調査(2024年)』では、高齢夫婦無職世帯の平均支出は約25万円とされ、年金だけでは不足する構造が示されています。そこに同居子の生活費が残れば、家計負担は続きます。
「自分たちだけでも足りないのに」
妻は言います。
「一人暮らししたらお金減るでしょ。かわいそうじゃない」
亮太さんは家事も手伝い、親子関係は良好です。問題は関係ではなく、依存の構造でした。
ある夜、博さんは再び言いました。
「結婚とか考えないのか」
亮太さんは答えました。
「今のままで不満ないし」
その瞬間、博さんは理解したといいます。
「こいつは出る気がないんだ」
