(※写真はイメージです/PIXTA)

SWOT分析や成功パターン分析による戦略代替案ができたら、基本戦略をベースとした事業戦略の設定を行います。実現性の高い事業戦略を策定するにはどうすればいいのでしょうか。コンサルタントの井口嘉則氏が著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

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実現性の高い事業戦略を設定する

事業戦略パターンに対する知識とSWOT分析や成功パターン分析による戦略代替案が検討できたら、続いて基本戦略をベースとした事業戦略設定を行います。

 

下表のようなワークシートを使うと良いでしょう。まず事業別に既存商品・サービスと新商品・サービスに欄を分け、既存商品・サービスについて対象市場・顧客とそのニーズ、そして事業戦略のパターンと進めていきます。

 

記入例は、軽自動車を対象とした架空のものです。軽自動車は日本中どこでも見られますが、特に地方都市や田舎では多く見かけます。顧客は男性・女性問わずいて、彼らのニーズは、本体価格が安く、かつ燃費が良い車です。コストパフォーマンス重視ですね。

 

このため事業戦略パターンは、基本的にはコスト集中のコストリーダーシップとなります。ここで戦略パターンを記述するだけではなく、ではどうやってその戦略パターンを取るのか、取れるのかという補足説明を行います。ここでは、人件費の安い新興国で生産した安い部品を使うことでコスト圧縮を図るとしています。

 

次に対象セグメントですが、これは自動車市場のうち、どのセグメントをターゲットとするかということで、日本にしかない規格である「軽自動車」としています。優遇税制が適用される黄色いナンバーが付けられる条件に適合した車ということです。

 

続いてマーケティングミックス、4Pとなります。4PはProduct、Price、 Place、Promotionの4つですが、文字数圧縮のために、製品、価格、販路、広宣(広告宣伝のこと)としています。そしてこれら4要素について、具体的にどうするかを記述します。

 

軽自動車の場合は、製品の特徴としては高い利便性となりますし、価格は相対的には低価格帯(実際には、想定する価格帯を入れます)、販路は系列のディーラー(自動車販売会社)、広告宣伝は、新製品についてはテレビCMで利便性や低燃費などをアピールします。

 

その他の欄は、補足的に事業戦略の内容の説明をしたい場合に使います。

 

新規の欄については、どういうものを新規として扱うかを社内で合意を取り、既存と同じように新商品・サービスについて記述します。

 

例えばアンゾフのマトリックスを例にとり、新商品・サービス開発の象限と市場開拓の象限に入るものをこの欄に記入する等の決め事をしておき、多角化に入るものについては、別途新規事業として扱うというような区分の仕方をします。

 

 

ポイント
事業戦略を戦略パターンや4Pで具体化する

 

事業戦略チェックリストで戦略の妥当性を高める

このように事業戦略立案をしても、事業戦略要素間の整合性が取れているかどうかの確認が必要です。そこで、下図のようなチェックリストを作りました。よい事業戦略はこれら4要素について具体的で、かつ、その要素間の整合性が取れている必要があります。

 

(1)市場・顧客要素

これは新規事業のところで見て来た項目と同様に、①対象市場とその特徴、②対象セグメント、③顧客とニーズとなります。この3つの事柄について具体的にリサーチ結果を含め把握できていれば、5点となります。仮説段階であれば、2点止まりとします。

 

(2)競合・成功要素

①競合他社とその強み・弱み、②自社の強み・弱み、③重要成功要因、これらは競合分析のところで出てきた要素です。自社と競合他社をFACTベースで比較し、事業としての重要成功要因が掴めている必要があります。

 

(3)ビジネスモデル・戦略要素

①ビジネスモデルとその特徴、②戦略パターン、③戦略の内容で、これらは、ビジネスモデルや戦略パターンのところで出て来た要素です。それらが事業として具体化されている必要があります。

 

(4)マーケティング・リソース・業績要素

①4P、②VRIO評価、③成長性・収益性

 

4Pは、マーケティング要素で触れたとおりです。

 

VRIOは、リソースベーストビューの評価視点で、V:顧客にとって経済的な価値があるかどうか、R:商品・サービスを成り立たせる資源に希少性があるかどうか、I:商品・サービスが模倣困難かどうか、O:これらの要素活かせる組織になっているかどうかという4つのポイントについて〇△×で評価します。

 

成長性・収益性は、事業として今後成長性が見込まれるかどうか一定程度以上の収益性が見込めるかどうかについて評価します。

 

4要素それぞれについて5点満点で評価して、合計値を出します。1要素5点満点×4要素で20点満点となりますが、良い事業戦略の条件は15点以上が目安です。内容が曖昧だったり、整合性が取れていなかったりするとスコアが低くなります。

 

そうした場合は、評価の低い要素について再検討して、スコアが上がるようにします。

 

 

ポイント
事業戦略は4要素で評価しブラッシュアップする

 

井口 嘉則
株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット 代表取締役
オフィス井口 代表

 

 

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※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

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