(※写真はイメージです/PIXTA)

企業にとって重要課題の1つとも言われる資金調達は、今後の事業が上手くいくかどうかがかかっています。重要なのは、事業目的にあった資金調達方法を選ぶことです。コンサルタントの井口嘉則氏が著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

企業が行う5つの資金調達方法

必要資金の資金調達方法には、(1)自己資金、(2)金融機関からの借入れ、(3)出資受け入れ、(4)補助金・助成金活用、(5)親戚・友人知人からの借入れがあります。

 

(1)自己資金

自分で蓄えておいたお金なので返済の必要がありません。ただ大きな事業となると自前資金だけでは賄いきれませんので、融資や出資を募る必要があります。

 

(2)金融機関からの借入れ

自己資金で不足する開業資金や運転資金を調達するのに使います。金融機関の審査を通る必要があり、その審査に本書のテーマである事業計画書が必要となります。借りたお金には金利が付きます。

 

ここしばらくは低金利が続いているので、金利そのものの負担はそれほど大きくはありません。金融機関とつき合うメリットは、資金調達だけでなく、事業についてのアドバイスや、取引先紹介等のメリットもあります。また知名度のある金融機関との取引は信用の付与にも役立ちます。

 

金融機関には、①都市銀行(メガバンク)、②地方銀行、③信用金庫・信用組合、④政府系金融機関(日本政策金融公庫等)等があります。

 

金融機関との取引には、預金取引と融資取引とがあります。創業のための資金調達は、融資取引に当たりますが、金融機関によって融資取引、特に創業・起業取引に積極的なところとそうでないところがあります。

 

創業・起業取引に積極的かどうかは、その金融機関のホームページやパンフレットなどを見て、そうした記載があるかどうかでおよその判別ができます。小規模で地域に根ざした事業を行うのであれば、③信用金庫・信用組合等の選択肢もあります。

 

一つの金融機関に依存すると、何かあった際に資金繰りに困ることがあります。このため複数の金融機関と取引を行うことが多いですが、事業や資金繰りについての相談を第一に行う金融機関をメインバンクと呼びます。

 

(3)出資受け入れ

親会社があり、その会社の新規事業として行う場合には、親会社から出資してもらいますが、独立して事業を立ち上げる場合で、将来急激な事業拡大や株式公開を目指すケースなどは、ベンチャーキャピタルや個人投資家から出資を受け入れる方法があります。この際、将来の事業評価や株価算定が必要となり、ここでも事業計画書が必要となります。

 

(4)補助金・助成金活用

国や都道府県などの地方公共団体が、個人などの開業支援を目的として補助金や助成金を交付することがあります。これに応募して、審査が通れば補助金・助成金が得られます。ただし、それぞれに交付の目的があり、目的に合ったものしか対象となりません。また審査の手続きに時間が掛かることもあり、当初の立ち上げ費用は自前か借入れに頼らざるを得ないこともあります。

 

(5)親戚・友人知人からの借入れ

あまりお勧めしませんが、事業責任者の人柄や人間関係を頼りに親戚や友人知人からお金を借りるという選択肢もなくはありません。ただ後でトラブルとならないように、きちんと書面に落として残しておくことが必要です。

 

ポイント
資金調達は自己資金+融資+出資の組み合わせで

 

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※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

経営環境が激変する最悪シナリオを乗り切る「事業計画書」の立て方・作り方とは? 「ビジョン・戦略立案フレームワーク」で何を/どの段階で行うかがわかる“これからの”実践教科書。 コロナ禍にあっても、事業計画の立…

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