※画像はイメージです/PIXTA

家を売ろうとしたら「家がいくらで売れるか」を把握するために「売却査定」に出します。不動産の売却査定は、「査定額が最も高い会社を選べば良い」というものではありません。それはなぜでしょうか。不動産売却実績4000件の新川義忠氏が著書『速く、高く、不安なく!トータルで収益を増やす“不動産売却”の極意』(ごま書房新社)で不動産売却のコツを解説します。

査定の最低価格は即日買い付けが入る価格

■その価格査定は正しいものか?

 

査定は「売ってほしい」という依頼を受けてから行います。

 

私が依頼を受けた時には社内査定もしています。情報を社内LINEで流し、いくらで売れるか聞きます。すると社内でも価格差が出ますのでその平均を参考にします。

 

なぜ社員によって価格差が生じるのかというと、経験や感覚の違いです。

 

具体的にいうと、社員には「相場の価格」と「最低の価格」を伝えてもらっています。

 

最低の価格というのは、即日で買付が入るような価格です。

 

相場の価格は3カ月くらいで売れる価格です。

 

すると、価格差が出るので、私は自分の意見と社員の意見がどうなのかをすり合わせをした上で、お客さまのところに行って話をします。

 

その際、LINEの意見も生の声として、そのまま見てもらうこともしています。

 

こうしたことをしている不動産会社は他にはないと思います。私に依頼が来ることはあまりないのですが、私の元に来たら、このように対応しています。

 

ただ、「誰か担当を紹介してください」と望まれたときは営業を紹介します。私は、「これは当社がやったほうがいい」もしくは「いや、当社ではないほうがいい」という判断もしています。

 

「これで売ってほしい!」と望まれる人もいれば、「いくらで売れますか?」と尋ねてくる人もいますが、私は聞かれた内容の数字を出すようにしています。

 

また、銀行の評価も出しています。

 

利回りの相場で言うと、例えば5000万円だけど銀行の評価が3000万円の場合、2000万円の現金を入れなければ買えません。

 

ただ、この価格で2000万円を入れられる人は皆無とは言えませんが、そこまで多くありません。そこで価格を下げたほうが売りやすくなります。

 

この場合「相場の利回りでは、銀行の評価が足りないので価格を下げましょう」という説明になります。こうしたことを理解していない人は多くいます。

 

例えば、築古の木造物件の場合、法定耐用年数の22年を過ぎていれば建物の価値はゼロと見なされます。そこで、建物でなく土地を購入する感覚で「売ってほしい」と言われることがあります。

 

しかし、建物が使えない状態ならともかく、家賃を生み出す収益物件であれば、それが耐用年数を超えていても価値はあります。

 

私であれば「土地値以上の価格で売れますよ」とアドバイスしますが、不動産会社によって「それでは土地値で買いますよ」と言うかもしれません。依頼をした会社が買うということは、安すぎると思ったほうがいいでしょう。

 

高く売ってほしいと考えていても、ご自身の査定が間違うこともあります。それに気づかないふりをして「弊社で買いますよ」となるのは、プロとしてはアドバイスをしていないと感じます。こうした人は、不動産会社にも多くいます。
 

 

新川 忠義
株式会社クリスティ代表取締役
富士企画株式会社代表取締役

 

 

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※本連載は新川義忠氏の著書『速く、高く、不安なく!トータルで収益を増やす“不動産売却”の極意』(ごま書房新社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

速く、高く、不安なく!トータルで収益を増やす“不動産売却”の極意

速く、高く、不安なく!トータルで収益を増やす“不動産売却”の極意

新川 義忠

ごま書房新社

不動産投資において、「売却」は不可欠なものです。そもそも不動産投資には「家賃収入によるインカムゲイン」「売却時の利益、キャピタルゲイン」と2つの利益があります。 安く買って、高く売れば利益になりますが、10年前に…

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