(※写真はイメージです/PIXTA)

老親を見送って一息ついたのもつかの間、本人がまさかの末期のがん宣告…。医師から余命いくばくもないと告げられ、遺言書作成を急いだのには、理由がありました。夫婦には子がなく、1人いる姉との関係は最悪。夫婦共有の自宅不動産に、亡き配偶者の姉の名義が入るようなことになれば大変です。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに、生前対策について解説します。

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クライアントの夫からの、予期せぬ電話

先日、以前よりお付き合いのあるクライアントの方のご主人から、急ぎの相談ということでお電話をいただきました。

 

「私の妻が、肺がんで余命宣告を受けまして…」

 

余命宣告を受けた木村さんというクライアントの方は、先日までご両親の相続の件でいろいろな相談を受けていました。つい数ヵ月前にお会いしたばかりで、そのときは大変お元気な様子だったのです。そのため、ご主人のお話とのギャップがあまりに大きく、筆者もショックを受けました。

 

木村さんはつい先日まで普通に生活していましたが、数週間前から、だるさや疲れが取れないといって整体に通いはじめました。しかし改善しないため、担当者に勧められて病院の診察を受けたところ、末期の肺がんと診断され、余命はいくばくもないと告げられたというのです。

 

木村さんは遺言書を作りたいとお考えで、代わりにご主人が筆者の元へ電話をして来られたのでした。

遺言書作成を焦るクライアントが抱えていた、ある事情

木村さんとの最初の出会いは、10年以上前も昔のことでした。

 

木村さんは、両親と姉との4人家族で育ちました。両親は穏やかな人柄でしたが、なぜか姉は気性が激しく、家族との折り合いはよくありませんでした。姉が結婚したあとは平穏な日々となりましたが、親族の冠婚葬祭などでたまに顔を合わせると、「親の老後など見るわけない」など、わざと両親が傷つくことを口にしたり、その一方で「財産は長女が受け継ぐべき」と声高に主張したりといった行動を繰り返し、姉との関係はますます悪くなっていきました。

 

そのため、以前は腫物に触れるように姉に接していた木村さんの両親も、自己中心的にふるまう姉には財産を渡したくないと考えるようになったのです。

 

次女の木村さんは、結婚後も実家のすぐ近くに住み、両親が高齢になってからもサポートを続けました。体が弱った父親のために老人ホームを探し、実家でひとり暮しになった母親の身の回りの面倒を見るなど、すべてを引き受けてきました。

 

両親はそうした状況を踏まえ、次女である木村さんに老後を託し、財産も相続させたいという気持ちを固め、公正証書遺言を作成しました。その際、将来の相続時に長女から不満が出ないようにと、住宅取得資金として現金の贈与もすませました。

 

相続財産は、両親の共有名義となっている自宅と預金で、それぞれ基礎控除の範囲内でしたので、相続税はかかりません。先に父親が亡くなり、そのあとに母親が亡くなりましたが、それぞれ公正証書遺言で相続の手続きができました。普段の木村さんの貢献度は明らかであり、さすがの姉も文句はいえなかったようで、遺留分請求はありませんでした。

 

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本記事は、株式会社夢相続のサイト掲載された事例を転載・再編集したものです。

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