書くことは人に話すよりも効果的なワケ
■「セルフマネジメントシート」の書き方
では、具体的にどのように書いていけばいいかをお伝えします。
自分が思っていること、現在の状況など、思いのままに書き出していくという方法もあります。ですが、ある程度整理して書き出さないと、情報が混在し、頭の中が整理されないので、「自分の現在を知る」ことができません。
基本となる書き方は次の通りやってみてください。
ステップ①
「気になっていること」「やるべきこと」「やりたいこと」を紙に書き出す
ステップ②
客観的に眺め「気づいたこと」「感じたこと」を書く
ステップ③
「本当はどうしたい?」と問いかけ理想の状態を書き出す
ステップ④
具体的アクションプランを書き出す
まずは、「気になっていること」「やるべきこと」「やりたいこと」を紙に書き出しましょう。
この3つに分けて書き出すだけで、頭は整理され、ある程度「自分の現在を知る」ことができます。
人間の脳というのはアウトプットするときに自然と整理することができるからです。思考しているとき、頭の中でぐるぐる考えたり悩んだりしているときというのは、考えているようで整理できません。
それを、人に話したり、言語化したりするときに、はじめて整理されるのです。
「書く」ことは「人に話す」よりも、文字として言葉に残る上、何度も繰り返し読んだり修正できたりするので、より整理がつき、自分の現在を知ることができます。
仕事の現場で使うときは、言葉を少し変えてみるといいでしょう。
「気になっていること」→「現在感じている課題」
「やるべきこと」→「着手すべきこと」
「やりたいこと」→「本当に着手したいこと」
ステップ②は、「自分が書き出したこと」を改めて眺めます。
客観的に眺めてみて、「気づいたこと・感じたこと」を書き出していきます。
悩みや課題について頭の中だけで考えていると、思考も視野も狭くなりがちです。
ですからここでは、「メタ認知」したことで得られる気づきを言語化していきましょう。
たとえば、「気になっていること」として、今月が締め切りの案件があったとします。改めて、その案件について客観的に眺めてみると、
「未知の案件だから、うまく処理できるか気になっていたけれど、過去に類似の案件を扱ったことがあった」
ということに気がつくかもしれません。または、「経験者に相談するか、もう少し情報収集したほうがいい」と感じるかもしれません。ここで書くことに、正解も不正解もないので、自分がそのことについて、「気づいたこと・感じたこと」を書いてください。
ステップ③は、書き出したことに対して、ひとつずつ「本当はどうしたい?」と問いかけ、理想の状態を書き出していきます。
ついつい、私たちは解決策や対策を考えることに注視しがちです。ですが、そればかりしていると、ますます思考や視野が狭まり、「自分の現在を知る」ことから遠ざかってしまいます。ここでは、制約を一度脇に置いて、「理想の状態・理想のゴール」をイメージして書いてください。
ステップ④は、理想に近づくためのアクションプラン(取り組み内容)を書き出していきます。一度、思考や視野を広げたあとにアクションプランを考えることで、アイデアも出やすくなります。
毎週1回、同じ時間、同じ場所でノートに書き出すことを習慣化することで、「自分の現在」を把握し続けることができます。
大平信孝
株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役