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自分を深く知るために「欲望」を知る
▶「3つの声」を聞き分ける―自分を「深く」知る
自分の「過去」と「現在」がわかったら、「未来」も知りたくなる方が多いでしょう。しかし、まずは自分を一段「深く」知ることに時間を使ってください。
私自身もそうですが、「わかっているようで、なかなかわからない」のが自分自身というものです。
特に、リーダーは自分の価値観や判断よりも、会社やチームの利益、ニーズ、判断などを優先せざるを得ないこともあります。
そういった状況が続いて自分の価値観や判断をないがしろにし続けると、「自分を深く知る」ことが難しくなっていきます。
そうなると、自分の思いやニーズ、本音を無視して、「やるべきこと」を必死に機械的にこなすだけになっていきます。
自分と向き合わずにいたら、いつまでたっても「自分を深く知る」ことはもちろん、部下についても表面的な理解しかすることができません。
では、どうしたら、「自分を深く知る」ことができるようになるのでしょうか?
■自分を深く知るために「欲望」を知る
自分を深く知るためには、自分の「欲望」を知ってください。
ここで、「1分間セルフトーク」の出番です。
「1分間セルフトーク」とは、「本当はどうしたい?」と、自分自身にシンプルに問いかける手法です。具体的な内容をお伝えします。
まずは、「本当はどうしたい?」と自分自身に問いかけてみてください。
自分の本当の「欲望」を知ってほしいからです。
人は、自分が本当にやりたいことならいくらでも頑張れる、続けられる、成長できるという性質を持っています。
もしかしたら、「欲望」というギラギラ・ドロドロしたものを知っても、自分を知ったことにはならないのではと、疑問に思った方もいるかもしれません。
私がここでいう「欲望」とは、心の奥底にある純粋な思い、心を揺さぶるような「希望・期待・願望」のことです。
誰でも、小さい頃は自分の欲望を知っていました。
「社長になりたい」「ケーキ屋さんになりたい」「海外で暮らしたい」「大金持ちになりたい」「電車の運転手になりたい」……。
こうした小さい頃に描いた夢や目標は、いつの間にかしぼみ、あきらめ、忘れ去られていったのです。
いきなり「あなたの欲望は?」と、聞かれても、戸惑うだけで、答えなど出てこないという方もいるでしょう。
そこで、内なる欲望を顕在化させる方法をお伝えします。
私は、「欲望=頭の声、体の声、心の声」と捉えています。この3つの声を別々に感じ取りながら「本当はどうしたい?」と自分に問いかけることで、自然と欲望が明確になっていきます。
・頭の声……普段考えていること
「しなければならない」「すべき」といった義務感や責任感、義理など。
・体の声……体の状態やコンディション
「肩が凝っている、喉が痛い、眠い、体が軽い、頭がすっきり」など。
・心の声……感じていること、気持ち
「したい」「欲しい」という欲求など。
私たちの日常では、これらの3つの声が混在し、ひとつの声だけしか聞いていないことが多いのです。
たとえば、なかなか動けないという場合は、「頭の声」だけを聞いていることが多いのです。あるいは、「体の声」を無視して、肉体を酷使していたりします。
そういうときこそ、「体の声」と「心の声」に耳を傾けることが重要です。
リーダーは、「やらなければならない」という責任感や義務感から、「心の声」や「体の声」に蓋ふたをして、「頭の声」だけを聞いてしまっていることがあります。
「心の声」と「体の声」を聞くためには、まずは「3つの声を分けて聞く」ことから、始めましょう。