(※写真はイメージです/PIXTA)

すべての仕事は、「作業」と「スキル」の2つに分けられます。「作業」と「スキル」は違うことを念頭に置いておくだけでも、部下指導がスムーズになり、ストレスが減っていくはずです。エグゼクティブコーチの大平信孝氏が著書『部下は動かすな。』(すばる舎)で解説します。

作業とスキルを分けるだけで部下対応は変わる

■部下がつまずいたときの対処法

 

ここまでご紹介した方法を使って部下に接したとしても、部下がつまずくことはあるでしょう。そんなときの対処法をお伝えします。

 

部下がつまずく理由は、大きく分けると2つあります。

 

ひとつは、モチベーションの問題。

 

もうひとつは、スキル不足の場合です。

 

実は、「スキル」の問題で、つまずいている部下が多いのが現状です。というのも、リーダー自身にとっては「当たり前」にできることでも、部下にとっては指示されただけではできない「スキル」ということがよくあるからです。

 

■「作業」か「スキル」を確認する

 

すべての仕事は、「作業」と「スキル」の2つに分けられます。

 

「作業」とは、指示してやり方を教えればすぐにできる仕事。
「スキル」とは、言葉で指示するだけではできない仕事。
「スキル」をマスターするには経験や訓練が必要です。

 

たとえば、自転車の鍵の開け方は、「鍵の場所、鍵穴の場所、鍵の回し方」を教えれば、誰でも鍵を開けられるようになります。

 

これに対して、自転車の乗り方は知識として伝えても、すぐには乗れるようにはなりません。練習してコツや感覚をつかまないと、いきなり自転車に乗れるようにはなりません。自転車だとわかるのに、仕事になると「作業」と「スキル」の違いを意識しない人が多いのです。

 

つまり、「自転車に乗れ」という指示だけ出してもできないのは、部下にやる気がないというモチベーションの問題でも、マネジメント力の問題でもありません。「スキル」は指示だけ出してもできないからなのです。

 

「作業」と「スキル」に分けて指示を出していますか?

「作業」は、やり方を伝えていますか?

作業をやってもらうには、ひとりで進めるのに十分な知識を伝えていますか?

「スキル」をマスターするのに必要なトレーニングの場を作っていますか?

 

マスターできるようになるまでに個人差がある「スキル」を、上司側が「できる・できない」のいずれか、オールオアナッシングで判断するところにコミュニケーションギャップの生まれる大きな原因があるのです。

 

仕事の成果は100点か0点ではなく、35点、60点、70点など、できている部分もあるわけです。

 

その「部分的にできている部分」をスルーして、できる社員、できない社員と分けてしまうと、成長過程にある部下はやる気をなくしてしまうわけです。

 

すべての仕事を「作業」と「スキル」に分類し、そのすべてに知識や訓練を施す必要があるとしたら、うんざりされるかもしれません。

 

実際、上司には部下育成だけでなく自分の業務もあるわけで、いくら時間があっても足りないと考える方もいるでしょう。

 

完璧にはできなくても、「作業」と「スキル」は違うことを念頭に置いておくだけでも、部下指導がスムーズになり、ストレスが減っていくはずです。

 

この部分については拙者『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』(かんき出版)に詳しく書きましたので、ぜひそちらもご覧ください。

 

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※本連載は、大平信孝氏の書籍『部下は動かすな。』(すばる舎)から一部を抜粋し、再編集したものです。

部下は動かすな。

部下は動かすな。

大平 信孝

すばる舎

「部下が動いてくれない」「部下が一向に成長しない」「怒っても褒めてもうまくいかない」「チームが全然まとまらない」「リーダーとしての自信がない」… このような悩みを抱えるリーダーのあなたは、なんとかして部下・チ…

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