(※写真はイメージです/PIXTA)

母親が亡くなり、実家が空き家になったのを機に、そちらへ生活の拠点を移したいと考えている夫。しかし妻は、便利な都心部の生活から離れ、知り合いのない北関東の夫の故郷へ引っ越すのは気が進みません。都内の大学に通学する子どもの生活も気がかりです。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに、生前対策について解説します。

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亡き夫両親とは同居せず、相続手続きも円満だが…

今回の相談者は、50代の鈴木さんです。先日定年を迎えた60代の夫の相続の件で意見を聞きたいと、筆者のもとを訪れました。

 

鈴木さんの夫は都内の大学へ進学するため実家を離れ、卒業後は都内の企業に就職。鈴木さんと結婚して子どもが生まれてからは、都心部の人気エリアにマンションも購入しました。夫には妹がひとりいますが、妹も結婚を機に実家を離れています。そのため義父母は高齢となってからもずっと2人暮らしでした。

 

「数年前に義父が亡くなり、昨年、義母が亡くなりました。いま、夫と義妹が相続の手続きを進めています」

 

鈴木さんの義父が亡くなったときは、節税対策で建てたマンションに多額の借り入れがあり、相続税はかかりませんでした。マンションと負債は夫が相続し、いまも返済を継続しています。

 

「義母が相続したのは自宅と現金でした。相続税の基礎控除の範囲内に収まり、相続税の申告は不要でした。夫はマンション、義妹は現金を相続することで、円満に話がまとまったのです」

「実家を建て替えて、家族3人で暮らそう!」

今回問題となっているのは、義母が亡くなるまで暮らし、いまは空き家となっている、100坪以上もの広さがある北関東の実家のことでした。

 

鈴木さんの夫は、ちょうど定年を迎えたため、このタイミングで実家を新しく建て替え、そちらに住み替えたいというのです。

 

鈴木さん夫婦の子どもはまだ大学生で、鈴木さん夫婦と同居しています。

 

「夫は、いま住んでいるマンションを賃貸に出し、相続予定の実家の土地を活用して自宅を建て替え、3人で暮らそうというのです。広すぎる敷地を半分売って、そのお金で家を新築しようと…」

 

鈴木さんは、子どもの通学はもちろんなのですが、戸建に移ることで、老後、階段の上がり降りや庭の手入れが負担になりそうなこと、夫の実家は最寄駅からも遠く利便性が悪いこと、地元の友人や知人と離れるのが寂しいこと、知り合いがいない土地で新しく人間関係を作るのが不安なことなど、いくつもの懸念事項があり、正直気が進みません。

 

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本記事は、株式会社夢相続のサイト掲載された事例を転載・再編集したものです。

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