「長期譲渡所得課税」で売却を考える投資家
利益確定をするために売却する方は、大きく3タイプに分かれます。
1つめは、最初から売却益を狙って買っている投資家さんです。
年収が低い、自己資金も少ないというタイプの投資家さんは、利益を確定させて現金を得て、それを元手に規模拡大を行うケースもあります。
そのためには、人が買わないような全空物件や修繕の手間がかかるような物件をできる限り安く買い、できる限り安く直し、それを市場で売って売却益を得ることを狙っています。
2つめは、市況を見て買う人です。
融資が受けにくい時期(=物件が安いタイミング)で物件を購入して、融資が受けやすい時期(=物件が高くなるタイミング)で物件を売却します。
少額の現金投資ではなく、融資を使ったレバレッジ投資では融資状況が市況を左右します。融資が出れば買える人も増えるため、融資の出やすい物件が人気となります。
逆に融資が出にくい状況となると、買える人が減るため価格が下がりやすいのです。市況は繰り返しますので、タイミングに合わせて売買するケースです。
ただし、市況が良ければ必ず売るべきか? といえばそうとも限りません。
私は投資家さんから相談を受けて、よく物件の健康診断(売ったほうがいいのか、買ったほうがいいのか)を行っていますが、「高く売れそうだな」というタイミングは「安く買いにくい」わけです。
明らかに「売れば利益が出る」という状況においては、「売って新しく良い物件を買う」ことのハードルが上がります。過去に買った物件と同じような物件が手に入るかといえば、それは難しいです。
そのため「高く売って新しく買いましょう!」とは、言いにくいのです。
ただし、売りどきを見極めて現金を大きく得られたら、物件の種類を変えながら進めることもできます。
3つめは、長期譲渡に変わったから売ろうと考える人です。
個人で所有する不動産を売ったときの譲渡所得に対する税金は、事業所得や給与所得などの所得と分離(分離課税)して計算することになっています。
譲渡所得は、所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得の二つに区分し、税金の計算も別々に行います。
譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものを「長期譲渡所得」、5年以下のものを「短期譲渡所得」といいます。それぞれの税率は上の表をご確認ください。
当社のお客さまで多いのは、3番目のタイプです。長期譲渡になる5年というタイミングは、所有するか、それとも売却するのか、その判断の一つの区切りになります。
新川 忠義
株式会社クリスティ代表取締役
富士企画株式会社代表取締役
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