離婚経験者の資産家男性に嫁いだ女性。夫を見送り、自身も高齢になったとき、先妻の子2人に養子縁組を迫られ、承諾してしまいます。先妻の子には夫の相続時にも遺産を渡していることから、自分亡きあと、実子にはせめて自宅ビルを渡したいと考えていますが…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに、生前対策について解説します。
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先妻の子2人が、後妻に養子縁組を迫り…
今回の相談者は、40代の中村さんです。母親違いのきょうだいとの間に起こる、将来の遺産相続に不安を感じ、筆者の元を訪れたということでした。
中村さんの父親には離婚歴があり、中村さんの母親とは再婚でした。父親には先妻との間に長男と長女の2人の子がいます。中村さんの実母との間にもうけた子は、中村さんひとりだけです。
父親は20年以上前に亡くなっていますが、その際、母親と3人の子で相続をしています。しかし、相続手続きは母親が中心となって行っており、当時大学生だった中村さんは、詳細をよく知りません。
父親の財産の多くは中村さんの母親が相続したようですが、先妻の子2人にもそれなりの額の現金を分けたと聞いています。
「先日から、母親の様子がどうもおかしいと思いまして。問いただすと、異母兄姉から養子縁組を迫られ、断り切れずに承諾してしまったというんです…」
中村さんの母親は70代半ばと高齢であり、今後の相続のことが懸念されます。
「売上が足りない」先妻の子たちの要求はエスカレート
中村さんの母親の財産は、父親から相続した自宅ビルと2棟のアパートで、いずれからも家賃収入が入ります。また、父親が経営していた商店も引き継いで切り盛りしていました。商店は中村さんの異母兄姉も手伝っており、ここ数年は高齢となった母親から、代表者が異母兄に代わっています。
店舗は母親と中村さんが住むビルの一角で経営していますが、無償でフロアを提供しているほか、売上が少ないといっては、ほかのフロアの家賃も渡すよう、母親に強く迫っているということです。
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株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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