先妻の子と養子縁組したことで、実子の相続権は1/3に
中村さんの母親は、父親の相続時に財産を渡していることから、先妻の子ふたりにはアパートを相続させ、実子の中村さんには自宅ビルを渡したいと考えているとのことです。
本来なら実子の中村さんがすべて相続できたところ、養子縁組したことで3人が同等の権利を持つこととなり、実子の相続分は3分の1だけになっています。
中村さんは40代ですが、異母兄姉は50代後半と、ひと回り以上も年齢が違い、また、中村さんの母親はあまり強気な性格ではないため、異母兄姉には常に押され気味とのことです。
母親の意思を公正証書遺言として残す
そこで筆者は、母親の意思通りの公正証書遺言を作成することを提案しました。自宅ビルの相続人は中村さんとし、アパートは先妻の子どもを相続人に指定した内容です。
「これでとりあえず、ひと安心できます…」
中村さんと母親は、最後の打ち合わせの席で安堵の表情を見せました。
遺言書は遺留分に抵触しない内容になっており、中村さんが母親と暮らす自宅は、異母兄姉から守られることになります。
母親の気持ちを遺言という形で残してもらうことで、将来起こる遺産分割の不安を解消することができるのです。
※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
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曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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