(※写真はイメージです/PIXTA)

これから開業する会社や個人事業主がまず当たるべき金融機関は、ズバリ「公庫」です。公庫に融資を申込む際には、「自分で手続きをする」やり方と、「認定支援機関を通じて手続きをする」2つの方法があります。ここでは認定支援機関を通すメリットや、自分で手続きする場合との違いについて見ていきましょう。資金調達アドバイザーの田原広一氏が解説します。

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公庫で「融資額1000万円超」を申込むのは非現実的

認定支援機関とは通称で、正式名称は「認定経営革新等支援機関」といい、中小企業や小規模事業者の経営課題に対し、事業計画策定支援などの専門性の高い支援を行う専門家です。課題に応じて専門分野が分かれており、それぞれの認定支援機関に得意分野があります。国の認定により、税理士や公認会計士などの士業、金融機関、私の会社のように融資サポートをする事業会社など、多数の融資の専門家が存在します。

 

実は、公庫の融資を受ける際に、この認定支援機関を経由するとさまざまなメリットがあるのです。

 

公庫の新創業融資制度では、3000万円まで借りられることになってはいますが、現実には1000万円を超える融資を受けられるケースはまずありません。これを知らずに1000万円を超える融資を申込んでしまうと、最悪の場合1円も借りられないということになってしまいます。1000万円を超える融資が必要な場合は民間の金融機関も活用するなど、慎重に事を進めていく必要があります。

 

こうした際に経験豊富な認定支援機関のサポートがあれば、金融機関選びや申込みのタイミングなど、さまざまな点で適切なアドバイスを受けられ、高額の融資を引き出せる確率が高くなります。

 

飲食店の創業にあたり、1500万円の融資に成功したXさんの事例を挙げます。Xさんは会員制の飲食店をオープンするにあたり、公庫で1000万円、民間の金融機関で500万円の融資を受ける計画で準備を進めていました。ところが、公庫では希望額が通らず、800万円に減額されてしまいました。

 

そこで、相談を受けた私の会社は民間の金融機関に申込んでいた運転資金融資を増額して申請し直すことをアドバイスしました。公庫で希望額の融資を受けられなかったことを理由に増額すること自体にデメリットはありませんが、事業計画の修正は必要です。

 

事業計画では運転資金と設備資金を分けて希望額を出すことになりますが、それぞれどの程度であれば希望が通るのか、そもそも予定している支出がどちらに当たるかといったことを自分で判断できる人は多くありません。ここを間違えてしまうと希望額の融資が難しくなります。特にコロナ禍以降は金融機関が高額の融資に難色を示すケースも増えています。1000万円を超える融資を希望する場合は、ノウハウを豊富にもつ認定支援機関のサポートが不可欠になっているといえます。

 

Xさんは無事、民間の金融機関で700万円の融資を引き出し、合計で当初の希望額だった1500万円の資金調達に成功しました。

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※本連載は、田原広一氏の著書『賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

増補改訂版 独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣

増補改訂版 独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣

田原 広一

幻冬舎メディアコンサルティング

資金調達のノウハウが知りたい経営者、必読!  起業の喜びも束の間、会社の存続をかけ資金繰りに頭を悩ます日々…。創業から1年以内に約3割の企業が廃業するといわれているなか、生き残るために必要な融資の知識とその活用…

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