採用活動は「増員に迫られてから始める」では遅い
事業を継続していくうえでは、自分一人で、あるいは家族で事業を回していくというスタイルも、リスクを最小限にする一つの選択肢ではあります。
しかし、融資をしたいと思われる会社であるためのミッションとして「売上を上げ続ける」ことを追求していくならば、限られた人員では早々に限界にぶつかることになるでしょう。
では、どのタイミングで人を増やすことを検討すべきなのでしょうか。これも私の考えでは、融資の備えと同様で、どうしても人員が必要になった時点で初めて、採用活動をスタートしていたのでは手遅れになりかねません。
空前の人手不足時代を迎え、大企業とて激しい人材争奪戦を繰り広げているなか、ヒト、モノ、カネという経営資源が限られている中小企業が、いい人材を獲得するのはそう一筋縄ではいきません。
ただし、逆に発想するならば、中小企業ならではのアドバンテージもあります。一定数の人員が必要な大企業に対して、中小企業こそが少数精鋭でより良い人材の獲得に注力できるという点です。
ならば、事業の展開プランを立てたら、人の採用に関しては思い切って先行投資で臨むことも大事だと思います。
例えば、腕利きの成果を出せる営業マンを雇えば、たとえ給料50万円を払ったとしても、月100万円の売上を稼いでくれればコストを上回る大きなリターンを手に入れることも可能となります。
無論、人材を雇うには、雇用後の給料だけでなく、採用コストも相応にかかります。人を雇えば、その教育・トレーニングに時間や人手が必要となることから、一時的に売上が下がる事態もあり得ます。
それでも、いい人材を獲得できる機会が到来したときに迷うことなく行動を起こし、しかも事業を安定的に継続していくために、余剰資産が大事なのです。
「人材」こそ、事業を拡大し売上を上げ続ける原動力
いい人材の獲得を左右するのは、オフィスの環境や給与、休日といった物理的な条件だけではありません。例えば、飲食店ならば若い人ほど「人気の店、流行っている店で働きたい」と言います。
ならば、求人広告の出稿だけに注力するのではなく、「食べログ」などの口コミサイトの評価を上げる努力も必要でしょう。インスタグラムなどのSNSで店や料理のオシャレな写真をアップするなど、いわゆるWebを活用したブランディングも必須といえます。
今は「一人でソコソコ稼げればいい」と思っていても、本業としてビジネスをスタートし、永続的にやっていくと腹を決めたら、いずれかのタイミングで「人を雇って、チャレンジしたい」と思うときがやってくるでしょう。
私の会社でも、NO.2の“右腕”として人材会社で働いていた社員を獲得できたことで、戦略的に人材採用を進められるようになりました。今、事業を拡大し、売上を上げ続けられているのは人材の力が大きいと考えています。
いざ「人が欲しい」と思ったときのために、雇用の仕方や採用コストぐらいは知っておき、心の準備とともに、資金的備えもしておくことも肝要なのです。
田原 広一
株式会社SoLabo 代表取締役
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】