デキる経営者は10億円の融資を見据えて動く
「将来的に医療法人を設立し、ゆくゆくは10億円ぐらいの融資を受けたいと考えていますが、果たして可能なのでしょうか?」
創業1年目でこんな大胆な質問をされた社長がいらっしゃいます。
その目標に向けて、創業時から積極的に融資を受け、創業3年間で3450万円もの融資を引き出し、2店舗を展開しているやり手経営者ですが、この社長の夢はそこに留まるものではありません。
掲げるコンセプトは「地域の健康を支えていくこと」。
そのためには、自分が経営する整骨院だけでなく、地域の健康を支えているような企業とパートナーシップを結んでいくことも必要なのではないか。その信念のもと、将来的にはビル一棟を建て、医療関係の会社にテナントで入ってもらう構想を立て、ワンストップで健康をトータルでサポートしていけるサービス展開を考えています。
これは、単なる夢物語ではなく、まずはスモールスタートで近隣にある薬膳料理のレストランと提携。食と身体の両方からのアプローチで、お互いに情報を交換し、顧客を紹介し合うなどの取り組みをすでに進めています。
5年先を見据え、融資も戦略的に進める
いつ、いくら融資を受けていくかは、最終的にビジネスをどのような形にしていきたいかでも変わってきます。そのうえでは、「なるべく多く、好条件で融資を受けたい」といった短期的な考えだけではなく、おぼろげでもいいので「5年先にどうなっていたいか」といった中長期的目標を立て、融資についても戦略的視点で考えることが大事です。
例えば、私が掲げているビジョンは、国が掲げる成長戦略の一つである「開業率10%達成」のうちの1%に私の会社で寄与するというものです。
目標がクリアになると、「やるべきこと」だけでなく、「やるべきではないこと」も見えてきます。
私の場合は、開業率アップとともに、安易に独立し会社を潰してしまうような廃業率の減少もミッションに掲げています。
そうすると、自然と手数料目当ての集客、営業はしない。新規事業の話やセミナーなどの話をもちかけられても、自分の事業構想、ミッションにそぐわないものにはいっさい手を出さないなど、自分なりのスタンスが定まってきます。融資サポートの料金設定についても、着手金ナシの完全成功報酬制にしているのも、先に挙げたミッションがあるからです。
儲けたいという気持ちが先行する人ほど失敗しがち
“儲ける”ことを優先課題に掲げるならば、もっと違うビジネスモデルのほうが最適という考え方もできます。しかし、逆説的に聞こえるかもしれませんが、「儲けたい」という気持ちが先に立っている人ほど、「やるべきこと」「やるべきでないこと」が見えないまま、さまざまな儲け話、眉唾モノの新規ビジネスの話に飛びつき、結局、失敗しているケースが多いように感じます。
「ウマい話はないか」「ひと山当てられるビジネスはないか」と、常に目先の利益を優先に動いていると、目標がブレてしまう。結果、手を出すべきでない話にもつい手を出し、だまされてしまうのです。
もちろん売上を上げ続けることは大事です。しかし、だからといって、「誰かを蹴落として、売上を奪う」のではなく、今のビジネストレンドとしても、先の整骨院の社長が描くように、ほかの会社とも連携しながらwin-winでビジネスを実践していくようなパートナーシップの構築が重視されるようになっています。
私の会社でも、先の開業率アップに寄与するうえで、より良い融資サービスを提供していく世のなかをつくるために、今まさに税理士の方々との関係構築を強化していく施策も進めています。
これも創業支援に関わるプロと広く手を組むことこそが、私たちが目指す目標に到達する近道だと考えているからです。
読んでくださっている方々にも、ぜひ長期スタンスでビジネスプランと達成したいミッションをまずはしっかり練り、そのエンジンとして融資を上手に活用していただきたい。
融資サポートを実践するプレイヤーの一人として、独立・開業によって夢をかなえ、生き生きと働く人が続々登場するような世のなかが到来することを心から願っています。
田原 広一
株式会社SoLabo 代表取締役
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