(※写真はイメージです/PIXTA)

いずれは開業を考えている医師の方も少なくないでしょう。福田さん(仮名)(36歳・勤務医)も、自分のやりたいことを医療を実現するために開業を目指している一人です。しかし、いざ医局から美容クリニックへ転職したところ、収入が倍増した一方で税負担も大幅アップしてしまい驚愕。効率よく開業資金を貯めるために、資産運用を考えるようになりました。

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36歳になり、医局から美容皮膚科へキャリアチェンジ

医師にとって、30代はキャリアチェンジの最初のタイミングです。医局でのキャリアに見切りをつけ、将来の開業を目指すのも選択肢の一つです。

 

【福田さん(仮名)プロフィール】

年齢:36歳

所属:美容クリニック(勤務医)

専門(標榜科):美容皮膚科

 

福田さん(仮名)はもともと美容に興味があり、後期研修では皮膚科を専攻。専門医資格も取りました。

 

後期研修の頃はアルバイトで、注入治療専門クリニックでヒアルロン酸やボトックスを手掛けたり、レーザーや高周波など最新の美容マシンでの治療もひととおりマスターしたとか。

 

そして、30代半ばを迎え自分の将来を考えたとき、そのまま医局でキャリアを積み重ねるより、自分のやりたい美容皮膚科の道を進むことを決断。

 

「医局にいれば勤務先に困ることはないけど、自分のやりたい美容の世界を究めるなんてとても無理。一度きりの人生だし、自分のやりたいことをやろうという気持ちがどんどん強くなったんです。」

 

こうして福田さんは医局を離れ、美容皮膚科医として経験をさらに磨くとともに、開業資金を貯めるため、信頼できる院長が経営する美容クリニックに転職することになりました。

転職後、予想外にも「所得税・住民税」が大幅アップ

「転職先の美容クリニックは業界でも有名なところで、臨床経験を積むにはもってこい。収入も大学病院時代に比べて倍以上に増えました。」

 

ただ、福田さんが驚いたのは所得税や住民税の税額も大幅に増えたこと。これはいかがなものかと思い、節税しながらもっと効率よく開業資金を貯められないかと考えるようになりました。

 

そこで福田さんの目に留まったのが不動産投資。

 

目標は、本業での収入には手を付けず、節税分も含めて不動産投資で年間500万円のキャッシュフローを生み出すこと。

 

医師専門の不動産コンサルティング会社に相談したところ、こんな提案を受けたとか。

 

●2500万円の新築区分ワンルームマンションを4戸

●2億円の中古1棟マンション(20戸)

●1億円の中古1棟アパート(10戸)

 

「正直、最初からこれだけの物件を購入するのかとビックリしたんですが、コンサルタントの説明を受けると、なるほど、といった感じで割とすぐに理解できました。」

 

ひと月あたりのキャッシュフロー(経費や元利金返済などを加味したうえでの単月収益)は、新築区分ワンルームマンションが1戸あたり8000円のマイナス、中古1棟マンションは2つ合わせて24万円のプラス。

 

また、節税効果の高い中古1棟アパートをもつことで、減価償却費や借入金利子等々を経費として計上できるため、初年度は260万円の節税(所得税の還付、住民税の軽減)となりました。

繰り上げ返済で与信限度額を上げ、投資規模を拡大

さらに、福田さんのプランのポイントは、「与信限度額を早期に引き上げる」ということ。そのための具体的な方法が、ローンの繰り上げ返済です。

 

繰り上げ返済は「毎月の返済額を減らせる」「返済期間を短縮できる」ということのほか、不動産投資が事業として堅調にいっていることを金融機関にアピールでき、追加融資を受けやすくなるというメリットがあります。

 

こうして新たに得た融資枠で、さらに投資規模を拡大していくのです。

 

「実際にやってみると、新築区分ワンルームマンションと中古1棟マンション、中古1棟アパートの組み合わせは、節税とキャッシュフローのバランスがよいことを実感しました。それと、空室が出たときストレスを感じるのが嫌なんで、サブリースを利用してますよ。」

 

ただ、こうした投資物件だけでは、年間500万円という福田さんの目標には届きません。そこで今後は、ローンの繰り上げ返済を進めるとともに、物件の買い替えなどポートフォリオの最適化が必要になってきます。

 

節税効果もずっと続くものではないため、そういった意味でも買い替えのタイミングを考慮すべき。

 

「買った時より高く売れると、その利益に税金が掛かるんですが、所有していた期間によって税率が倍ほど違うということを最近、知って驚きました。目標に向かって、いろいろ相談することが大切かなと感じています!」

 

福田さんが少しでも早く理想とする美容クリニックを開業するため、不動産投資がきっと役立つはずです。

「不動産投資以外の資産運用」を比較・検討

資産運用にはいろいろな方法があります。そのうち、最も代表的なのが、株式投資と投資信託でしょう。それぞれの、メリットとデメリットを整理してみます。

【株式投資】

株式投資とは、上場している株式会社の株式を購入することです。上場企業の株式をもっていると、配当金の支払いを受けたり、株主優待を受けられたりします。また、その企業の業績が上がったり、景気全体が上向いたりすると、買ったときより株価が上がり、売却すれば売却益が得られます。

 

また、株価は物価に連動する傾向があり、預金や現金で運用するのに比べ、インフレに強いのも株式投資のメリットです。

 

一方、株式投資にはデメリットもあります。

 

企業業績が低迷したり、景気の悪化やリーマンショックのような金融危機があったりすると、株価が大幅に下がります。万が一、投資先の企業が倒産すれば、無価値になることもあり得ます。

 

また、株価は月曜日から金曜日まで毎日、株式市場での取引によって動きます。その動きを逐一、追い掛けるのは多忙な医師の方たちには難しいでしょう。所有している株式の株価が上がればうれしいですが、どんどん下がれば不安になり、気分が落ち込んで仕事が手に付かなくなったりします。医師として仕事をしながら、株式投資に詳しい方もいらっしゃいますが、例外的です。

 

結論からいえば、株式投資は資産運用の方法として、医師の方たちには向いていないと思います。

【投資信託】

投資信託とは、幅広く投資家から資金を集め、それを金融のプロが株式や債券などに投資して運用する金融商品です。運用によるリターンは、手数料等を差し引いてそれぞれの投資額に応じて分配されます。

 

投資する株式や債券はプロが選び、売買のタイミングもプロが判断して行います。投資家としてはいちいち投資対象を選んだり、相場の動きを追い掛ける必要がありません。

 

また、少額の資金で始められるのも投資信託のメリットです。株式投資(個別銘柄)はある程度、まとまった資金が必要ですが、投資信託では1口1万円からでも始められます。

 

ただし、投資信託もやはり、運用成績は市場の動向に左右され、マイナスになることもあります。また、個別の株式投資に比べて、購入時や保有期間中、一定の手数料が掛かることが多く、その分、実質リターンは下がります。

 

株式投資よりは多少、リスクや手間の点でましかもしれませんが、投資信託も医師の方たちに向いた運用方法とはいいにくいのです。

 

 

大山 一也

トライブホールディングス 代表取締役社長

 

植田 幸

資産コンサルタント、宅地建物取引士、AFP(日本FP協力認定)

 

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    ※本連載は、大山一也氏、植田幸氏による共著『幸せになれる女性医師の不動産投資』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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    大山 一也
    植田 幸

    幻冬舎メディアコンサルティング

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