【関連記事】年収1500万円前後だが…勤務医が「資産10億円」になれるワケ
フリーランスなら「勤務医を超える高年収」も可能
【小野田さん(仮名)のプロフィール】
年齢:40歳
所属:フリーランス
専門(標榜科):産業医
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医師の新しいキャリアとして近頃、がぜん注目度アップなのがフリーランス。人気テレビドラマの主人公にもなっていたりしていますよね。
医局や市中病院、クリニックなどに属さず、ただのアルバイトとも違って、特定領域のプロとしていろいろな施設から定期的に、あるいは単発で業務を請け負うという新時代の働き方です。
フリーランスは勤務時間のコントロールがしやすく、また勤務医よりはるかに高い収入を得ることも可能。その一方、仕事を見つけられるかどうかは腕次第。社会保障はすべて自前で、福利厚生などなし。それなりの自信と勇気がないと、難しい選択かもしれません。
小野田さん(仮名)はその自信と勇気をもって、フリーランスの道を3年前に選択した女性医師です。
もともとは医学部を卒業後、出身大学の医局に所属し、関連病院にいくつか勤務したそうです。
「あの頃は朝早くから夜遅くまで働いても、休日に何度となく患者の容態急変で呼び出されても、毎月の給与は額面20万円ほど…。なけなしの貯金は減っていくし、身体はクタクタ、気持ちもすり減るばかりだったなぁ。」
そんな小野田さん。先行きに漠然とした不安を感じつつ、ネットで割の良いバイトを探していたところ、たまたま見つけたのが「産業医」の仕事でした。
産業医の収入が勤務医以上になり、フリーランスへ転身
「産業医」は企業と顧問契約を結んで、専門的な立場から従業員の健康確保のため、いろいろアドバイスを行うのが役目。2015年には法律で、労働者が50人以上の事業場ではストレスチェックの実施が義務化されました。そのため、多くの企業で産業医のニーズが高まっています。
「産業医と聞くと、会社相手で大変そうとか、臨床と違い過ぎるといった印象をもつドクターもいるみたい。でも、私としては時間の調整がしやすいし、いろいろな会社を知ることができてすごく面白い。」
小野田さんによれば、産業医にとっていちばん大切なのは、人の話を聞くのが好きだということ。医師としての技術はもちろんのこと、コミュニケーション能力が求められるそうです。
「私の場合、いつもカジュアルめな服を着て、“いつでも相談に乗りますよ”オーラ全開でやっています(笑)。」
もともと小野田さん、父が中堅企業の役員を務めていたので、企業相手の産業医はなじみやすかったそうです。
初めはアルバイト感覚で産業医の仕事をこなしていたものの、顧問先がどんどん増えてきて、そのうち勤務医としての収入をはるかに超えるように。そこで、フリーランスになる決断をしたそうです。
収入が増えるほど、重くなっていく税金
フリーランスの産業医として、収入は勤務医時代と比べて大幅にアップした小野田さん。複数の顧問先から所得を得ているので、毎年、自分で所得税の確定申告が必要になります。所得税は超過累進課税のため、課税所得が増えるにつれて、適用される税率がアップ。
こうして収入が増えるにつれ税金のことが気になってきました。
「収入が増えてもその分、税金も多くなって、思ったほど手元に残らない…。節税する方法がないか、いろいろ調べてみて興味をもったのが不動産投資なんです。」
とはいえ、不動産投資の知識などほとんどなかった小野田さんは、ファイナンシャルプランナーや税理士、IFA(Independent Financial Advisor)など何人かの専門家にアプローチしてみて選んだのが、医師専門の不動産投資コンサルタントでした。
小野田さんの貯蓄や年収を踏まえて提案されたプランは、節税効果が高く、キャッシュフローも確保しやすい中古一棟マンションを2つ購入するというもの。価格は約2億円と約1億5000万円です。
資金計画としては、それぞれ頭金500万円と購入諸費用1000万円は自己資金を充て、その他は銀行借入でまかなうことに。
諸経費やローンの元利金返済後、毎年の手残りは500万円。そのほか、減価償却を中心に不動産所得の赤字で初年度は175万円、2年目以降も約100万円の節税効果が見込めます。
「もともとは節税目的で始めた不動産投資ですが、本業のほかに副収入ができて、フリーランスの不安定さがカバーされるメリットが実は大きい。心理的な安心感が生まれ、産業医の仕事に以前よりもっと打ち込めています。」
不動産投資によって生まれた副収入が安心を生み、小野田さんの新しいキャリアを後押ししているようですね。
「不動産投資以外の資産運用」を比較・検討
資産運用の方法として、近年、注目を集めているのが外貨預金やFXといった外貨系と、ビットコインに代表される暗号資産です。
これらについて、簡単に特徴を整理しておきます。
【外貨預金】
外貨系の資産運用として最も一般的なのが、外貨預金です。米ドル、豪ドル、カナダドルなど先進国通貨のほか、トルコ(リラ)、南アフリカ(ランド)といった新興国通貨もあります。
外貨預金の最大の魅力は、金利の高さです。国内での円の預金はほぼゼロ金利で、まったくといっていいほど利息が付きません。それに比べると、外貨預金は数十倍もの金利が付きます。
ただし、外貨預金の最大の問題は、為替リスクです。預金したときの為替レートがそのままであれば、高い金利を受け取ることができます。しかし、預金したときより円高に為替レートが振れると、金利をプラスしても円に戻す際、損失が発生する可能性があります。
また、外貨預金では、預金時に日本円を外貨に換える際、その後、満期になって外貨を日本円に戻す際、それぞれ為替手数料が掛かります。これがかなり高いため、せっかくの外貨預金の高金利が大幅に目減りしてしまいます。
多くの銀行は今も外貨預金キャンペーンをよく行っていますが、通常の円建ての預金に比べてリスクが高い点には注意が必要です。
【FX】
FXとは「Foreign Exchange」の略称で、本来は海外旅行に行って日本円を現地通貨に両替することなどを指しますが、投資においては「外国為替証拠金取引」を意味します。
外国為替証拠金取引とは、証券会社などを相手に、一定の証拠金を預け、最大で証拠金の25倍までの外貨取引を行い、為替レートの変動によって利益を狙うものです。
実際には通貨の受け渡しは行わず、将来のどこかで反対売買により、為替レートの差額の受け渡しのみで決済します。
FXでの通貨の組み合わせは円とドルが代表的ですが、そのほかにもいろいろな組み合わせが可能です。そして、FXの大きな特徴は、証拠金の最大25倍までの取引が行えるため、比較的少額でも大きなリターンを狙えることです。また、外国為替取引は月曜の朝から金曜の深夜まで、平日であれば24時間行われているので、自分の都合のよいタイミングで行えるということもあります。
しかし、FXは株式や投資信託以上に少額の資金で大きなリターンを狙える一方、場合によっては大きな損失を被る可能性もあります。平日は深夜でも為替レートは大きく動いており、忙しい医師の方たちには株式投資と同じように向いていないと思います。
FXは投資というよりは、投機に近いといってもいいでしょう。
【暗号資産】
ここ数年、投資の世界で大きな話題になっているのが「暗号資産」です。億単位の利益を得た個人投資家も現れ、「億り人」と呼ばれたりしています。
日本銀行のホームページでは、次のように説明しています。
「暗号資産(仮想通貨)」とは、インターネット上でやりとりできる財産的価値であり、「資金決済に関する法律」において、次の性質をもつものと定義されています。
(1)不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる
(2)電子的に記録され、移転できる
(3)法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない
代表的な暗号資産には、ビットコインやイーサリアムなどがあります。
暗号資産は、銀行等の第三者を介することなく、財産的価値をやり取りすることが可能な仕組みとして、高い注目を集めました。
一般に、暗号資産は、「交換所」や「取引所」と呼ばれる事業者(暗号資産交換業者)から入手・換金することができます。暗号資産交換業は、金融庁・財務局の登録を受けた事業者のみが行うことができます。
暗号資産は、国家やその中央銀行によって発行された、法定通貨ではありません。また、裏付け資産をもっていないことなどから、利用者の需給関係などのさまざまな要因によって、暗号資産の価格が大きく変動する傾向にある点には注意が必要です。
また、暗号資産に関する詐欺などの事例も数多く報告されていますので、注意が必要です。詳しくは、金融庁・消費者庁・警察庁による「暗号資産に関するトラブルにご注意ください!」をご覧ください。
暗号資産は、資産運用の方法というより、一種のギャンブルといっていいと思います。
大山 一也
トライブホールディングス 代表取締役社長
植田 幸
資産コンサルタント、宅地建物取引士、AFP(日本FP協力認定)
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