(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍により、チームパフォーマンスが低下したと感じているリーダーが多いようです。筆者独自の調査によると、チームパフォーマンスを最大限に発揮できている組織はわずか30%。力を活かしきれず、「悪くはないが良くもない」というチームが増えているようです。メンバー個人の能力を高めるだけでは「強いチーム」を作ることはできません。チームパフォーマンスを向上させるために、今こそ求められるマネジメントを見ていきましょう。

もちろん「個人への動機付け」も重要だが…

誤解を招かないように付け足しておくと、コーチング、目標管理、インセンティブ、研修・研鑽、1on1ミーティングなど個人の能力発揮をねらった施策を否定するわけではありません。これらも相変わらず重要なのです。ただし、これらだけではモチベーションやパフォーマンスが上がらないことが多いのが現実です。

 

なぜなら個人のモチベーションやパフォーマンスは、チームの雰囲気から強い影響を受けるからです。よくあるのは、モチベーションを高めるための研修に参加して、「よし、明日からこれをやるぞ!」と張り切っていたのに、3日もしたら元に戻っていたというケースです。

 

例えば「毎朝元気に挨拶をして、職場の雰囲気を明るくしましょう」と言われ、「それもそうだな」と納得して実践したものの、誰も挨拶を返してこなかったら嫌気がさしてやめてしまうのが普通です。

 

あるいは上司とのミーティングで「顧客の立場になって商品を売れ」と言われていたのに、メンバーから「会社の利益を優先して商品を売るべき」と責められたとしたらどうなるか、さらにその様子を見て上司が庇わなかったとしたら…、二度と顧客の立場で考えるなどということはしなくなるはずです。

 

個人のモチベーションを向上させるのは重要ですが、チームで考え方が共有されていなければ続きません。それどころか低下を招くことさえあるのです。

 

1on1ミーティングで上司が部下に「君の意見をとても重要視している。ぜひ力を貸してほしい」というメッセージを投げたとします。部下はその上司のことを「この人は信頼できる人だ。相談や提案はこの人にしよう」と思うかもしれません。ではこれは良いことなのでしょうか。

 

上司と部下に信頼関係ができること自体はもちろん良いことです。しかし依存関係ができてしまいこの部下がチームの会議では自分のアイデアを発言せず、上司にだけ提案しに行くようになったとしたらチームにとってはマイナスです。さらにそのような部下ばかりになったとしたら、永久にチームパフォーマンスが向上することはありません。

 

1on1ミーティングをしてはいけないといいたいわけではありません。上司と部下の信頼関係を作るという意味では重要な取り組みだと思います。ただ与えるなら「ぜひ君の意見でチーム会議を活性化させてもらいたいな。私は個々がもっと自由に発言できる雰囲気を作るように努力するから、お願いするよ」というメッセージであるべきです。

 

チームメンバーが「このチームでなら本音の提案ができる」といったチームへの信頼感をもつようにすることがリーダーのするべきことだと、私は考えます。このようなことを指して「水槽の水質を良くする」とたとえているのです。

 

 

橋本 竜也

株式会社日本経営  取締役

 

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※本連載は、橋本竜也氏の著書『チームパフォーマンスの科学』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学

TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学

橋本 竜也

幻冬舎メディアコンサルティング

「科学的アプローチ」でチームパフォーマンスを客観的に評価する! 一人ひとりの社員は優秀なのに、チームパフォーマンスが上がらない…。そんな悩みを抱える管理職・リーダー層に向けた、待望の一冊。 マネジメントにお…

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