(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍により、チームパフォーマンスが低下したと感じているリーダーが多いようです。筆者独自の調査によると、チームパフォーマンスを最大限に発揮できている組織はわずか30%。力を活かしきれず、「悪くはないが良くもない」というチームが増えているようです。メンバー個人の能力を高めるだけでは「強いチーム」を作ることはできません。チームパフォーマンスを向上させるために、今こそ求められるマネジメントを見ていきましょう。

チーム状態を良くするには「積極的な情報共有」が有効

近年、ストレスマネジメントをはじめとするメンタルヘルスやモチベーションへの関心はますます高まっています。

 

個人のモチベーションやストレス状況、あるいは会社へのエンゲージメント(愛着心)をチェックするツールの需要が高まり、さまざまなものが開発されてきました。こうしたツールを使うと各社員のモチベーションだけでなく、今後メンタルヘルス不調に陥りそうかや会社を辞めそうかということまで分かるというのです。

 

主にエンゲージメントとモチベーション向上をねらいとする上司と部下の1対1のミーティングも、エンゲージメントサーベイのデータが活用されることが増えてきました。これが部下の課題解決に役立っているのであればとても良い取り組みだと思いますし、その結果部下のエンゲージメントが高まるのであれば万々歳です。

 

しかしエンゲージメントやモチベーションの向上が直接の目的となると、サーベイで得たデータは本来会社や上司だけでなく本人ももつ必要があります。そもそも本人の極めてセンシティブなデータなので、本人が確認できるのが当然です。部下本人だけでなく上司ももつ必要が出てきます。

 

ところが、会社によっては上司だけもっているケースもあります。そうなると自分が知らない自分の情報をもっていることに不安を感じさせたり、部下を支配するためにその情報を悪用する上司も出てくると予想されます。分析される部下の側からするとたまらない話で、それだけで会社へのエンゲージメントが失われる人も現れるはずです。

 

個人パフォーマンスに関する情報は秘匿性が高いこともあり、ひとたび悪用されるとその弊害は計り知れません。一方、チームパフォーマンスの向上についていえば、チームの状態はむしろ積極的に共有することで、その力を発揮します。情報共有から自分たちのチームが今どのような状況にあるかを客観的に知り、それに基づいて次のアクションを検討することがチームパフォーマンスのマネジメントには必須となります。

次ページもちろん「個人への動機付け」も重要だが…

※本連載は、橋本竜也氏の著書『チームパフォーマンスの科学』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学

TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学

橋本 竜也

幻冬舎メディアコンサルティング

「科学的アプローチ」でチームパフォーマンスを客観的に評価する! 一人ひとりの社員は優秀なのに、チームパフォーマンスが上がらない…。そんな悩みを抱える管理職・リーダー層に向けた、待望の一冊。 マネジメントにお…

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