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チームパフォーマンスは「個人の能力の総和」ではない
メンバーに主体性が備わればチームパフォーマンスが上がる。そう信じているリーダーはたくさんいますが、それはまったくの間違いです。
「せっかく研修で主体的に動く方法を学ばせたが、職場に戻ってきたら今までどおり受け身のままだった」「一人ひとりと面談しているときはとても前向きなのだが、会議になるとみんな黙ってしまう」「力のある人材をキャリア採用したがまったく力を発揮してくれない」
そんな声を至るところで聞きます。
チームパフォーマンスとは、単なる個人の能力の総和ではありません。個人の行動は、チームの雰囲気やメンバーとの関係性、リーダーからの働きかけなどに大きな影響を受けるということが多くの研究で明らかになっています。一人ひとりの能力や意識が向上してもよい環境のなかでそれらをうまくかけ合わせできなければ、チームとして機能しないのです。
そのことを知らないリーダーは、個人の主体性やモチベーションを高めることだけに力を注ぎがちです。個人のパフォーマンスを高めるための教育・訓練に力を入れたり、1対1の面談を重視したり、モチベーション研修やメンタルヘルス向上の取り組みなど心理面でのサポートも盛んに行ったりします。
確かに個人個人の主体性や能力が高いと、より強いチームが作れることもあります。しかし「チームの能力の総和を大きくする」よりも先にまずは「メンバー一人ひとりが本来の力を発揮できるチーム環境を作る」ことのほうがずっと大切です。たとえ主体性の高いメンバーだけを選りすぐったとしても、例えばいがみ合っていてはパフォーマンスが上がらないことは容易に想像できます。ただの顔見知りの他人同士のままではとてもチームとは呼べないのです。