夫婦で居酒屋を営んでいたBさんに「税務調査」の連絡が
夫婦で居酒屋を営む個人事業主のAさん(85歳)と妻のBさん(80歳※当時)。地元住民に愛される昔ながらの居酒屋でしたが、数年前にとある作品の舞台となったことでここ数年売上が急増。忙しくも充実した毎日を送っていました。
そんなある日のこと、夫のAさんが心筋梗塞で倒れ、そのまま帰らぬ人に。Bさんは突然のことで大きなショックを受けましたが、なんとか葬儀を済ませました。
常連客の希望もあり、Bさんはなんとか居酒屋を続けようと頑張ってみたものの、夫との思い出が詰まったお店での仕事は非常に辛く、惜しまれつつも畳むことにしたそうです。
Aさんが亡くなってから2年後、Bさんのもとに税務署から連絡がありました。聞くと「相続税の調査に伺いたい」とのこと。Bさんは「最後の数年は居酒屋が好調だったからかしら?」と考えましたが、相続税とお店の勘定は別です。特に心当たりもなく不思議に思っていました。
税務調査官のひと言に愕然としたBさん
税務調査当日、税務調査官は自宅に2名でやってきました。最初はなごやかな雑談からはじまり、居酒屋時代にメディアに取り上げられたことの話などで打ち解け、Bさんは少し安心しました。
午後の調査が始まってすぐ、Bさんはひとりの税務調査官から質問を受けます。
税務調査官「この通帳はなんですか?」
Bさん「ああ、これは孫が成人するときに渡す予定のお金です。はやく孫の喜ぶ顔が見たいわ」
AさんとBさんは15年前、愛する孫の誕生を機に孫名義の口座をつくり、孫が成人する際にサプライズでプレゼントしようと、孫の誕生日に毎年100万円ずつ入金していたのでした。
税務調査官「この通帳の存在、お孫さんはご存じですか?」
Bさん「知っているわけないじゃないですか。サプライズで渡して驚かすつもりなんですから(笑)」
税務調査官「そうですか……。残念ですが、こちらの預金は相続税の課税対象になります」
Bさん「いやいや、なにかの間違いでは? 毎年110万円以内の贈与は非課税ですよね。それくらいさすがの私でも知っていますよ」
税務調査官「それは贈与が成立している場合です。お孫さんが贈与を受けている事実を知らない場合、贈与とは認められません。よって、こちらの口座は名義預金となり、相続税の課税対象となります」
Bさん「えっ、そんな……」
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