(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍により、チームパフォーマンスが低下したと感じているリーダーが多いようです。筆者独自の調査によると、チームパフォーマンスを最大限に発揮できている組織はわずか30%。力を活かしきれず、「悪くはないが良くもない」というチームが増えているようです。多くの管理職・リーダーを悩ませる、「漠然としたチーム状態の悪さ」の原因を見ていきましょう。

在宅ワークでチームマネジメントの難しさに直面

「どうしてもっと力を発揮できないのだろう?」

 

マネジメントするチームに対して、不満やジレンマを感じているマネージャーや管理職は多いと思います。

 

例えば、

 

●メンバーからなかなか意見が出てこない

●問題が報告されず、手に負えなくなって発覚する

●仕事に一生懸命に取り組む人と、そうではない人の差が大きい

●ノウハウを抱え込む、他人の業務を手伝わないなど、個人主義が横行する

 

などの悩みが代表的です。一つでも当てはまるとしたらそのチームは崩壊する危険性があります。

 

理想的なのは、

 

●メンバー同士がよく相談し合っている

●遠慮せずに意見を交わしている

●ノウハウを積極的に共有している

●切磋琢磨している

 

というチームです。

 

チーム作りでは、メンバーが主体的に行動している状態を作り出すことが肝心なのです。しかし簡単にできることではありません。

チームパフォーマンスが低下する要因は3つ

チームパフォーマンスが低下する要因は、仕事における3つの承認欲求が満たされないことにあります。仕事の成果に対する結果承認、成果を生むまでの行動に対するプロセス承認、そしてチームに存在することが許されているという存在承認です。

 

存在承認は日常の業務のなかで意識せずとも自然に感じ取っているものです。例えば挨拶や仲間からの感謝の言葉、上司の指導やアドバイスだけでなく、同僚の笑顔や目配せ、自分の成果物を確認しているときの表情や姿は、すべて存在承認を感じ取ることができる行為です。これらは職場という同じ場にいれば頻繁に、しかも無意識に受け取ることができますが在宅ワークでは困難です。

 

存在承認を受けると自分がチームに所属しており、チームの一員として働いている手応えと安心感を得ることができます。逆に存在承認がないとチームへの帰属意識が低くなり、チームに貢献しようという気持ちが薄れてきます。

 

コロナ禍で急速に普及した在宅ワークは、通勤に時間をかけなくてよいことや離れた場所の相手とも手軽に面談できることなど、大きなメリットのあるニューノーマルな働き方として一般に浸透していきました。しかし、チームマネジメントの面からはデメリットも浮かび上がってきました。意思の疎通に手間がかかるため連携や相談が気軽にできないことや、それが原因で人材育成が難しいこと、仕事のマネジメントが難しいことなどです。

 

多くのチームで在宅ワークによって生産性が低下しているという研究報告も多数出ています。各々別の場所で業務を行うことによる物理的な問題に加え、存在承認が大きく損なわれることで、チームの一員として働いているという実感が薄れてしまうのです。

 

同じオフィスに集まって一緒に働く従来のスタイルから、在宅ワークという選択肢が広がった現在では職場のチームマネジメントがいっそう難しくなっているといえます。

次ページ「デキるリーダー、イマイチなリーダー」の決定的差

※本連載は、橋本竜也氏の著書『チームパフォーマンスの科学』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学

TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学

橋本 竜也

幻冬舎メディアコンサルティング

「科学的アプローチ」でチームパフォーマンスを客観的に評価する! 一人ひとりの社員は優秀なのに、チームパフォーマンスが上がらない…。そんな悩みを抱える管理職・リーダー層に向けた、待望の一冊。 マネジメントにお…

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