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「チャレンジ精神」を高めるには?
■ポイントは「物事のとらえ方、見方」を前向きにすること
チャレンジ精神とは、自分の身に降りかかることやチャレンジを通じて経験する困難な状況を前向きにとらえる度合いです。
これは特に、メンバーが当事者意識をもってチームに関わりチーム力を高めようとする「チーム向上行動」全般と、自分の仕事に新たな視点やアイデアを入れようとする「クリエイティブ行動」に影響を与えます【図表】。チャレンジ精神が高ければ積極的な行動が発揮されやすくなり、多くの主体的行動の原動力となります。またチャレンジ精神はほかの心理要因であるチーム貢献への自信および顧客重視にも影響を与えることが私たちの統計分析で分かっています。
物事を前向き、すなわちポジティブにとらえることによって、さまざまな要因に良い影響を与えるというわけです。性格や資質を問題にせず、物事のとらえ方や見方を前向きにすることがポイントだといえます。昔から「ピンチはチャンス」とよくいいますが、これはピンチを前向きにとらえるためのフレームワークの一つです。あるいはこれもよくいわれる例ですが、砂漠で水が半分に減った水筒を見て、「もうこれしかない」(ネガティブ)ととらえるのか「まだこれだけある」(ポジティブ)ととらえるのかという違いでもあります。
■「ポジティブな見方」を身に付ける方法
こういったものの見方は学習と訓練で身につけられる面があります。ポジティブシンキング、エリスのABCDE理論(論理情動行動療法)、ロジカルシンキングも大いに活用できます。
さらにチャレンジによる失敗を奨励するといった、メンバーもリーダーも前向きになれる方針を実行することが重要だといえます。ただし、チャレンジによる失敗が許されるのであって何でも失敗していいということではないので、ケアレスミスやチャレンジしないことによる失敗など、してはいけない失敗についても明確にしておくとよいです。
標語やキャッチフレーズ、あるいは社是なども効果があります。サントリーの「やってみなはれ」は良い例です。アポロ計画で有名になった「ムーンショット」(がんばれば手が届くストレッチ目標ではなく、一見無理だと思える目標を掲げることでブレークスルーやイノベーションを促進すること)も時と場合によっては取り入れてもよいかもしれません。
大きな抵抗があって当たり前と考え、さまざまな工夫をすることが大切です。チャレンジするチームを作ること自体がチャレンジなのかもしれません。
「仕事のやりがい」を高めるには?
■「やりがいを感じられる機会」の創出がカギ
仕事のやりがいは、担当している仕事の充実感や意義を感じている度合いです。
これは特に、自分の仕事に全力で取り組み最善を尽くす「最善行動」、顧客に対して自分ができる最大限の貢献をしようとする「顧客貢献行動」、チームの運営や活動をより良くする「チーム運営向上行動」に影響を与えます。やりがいを感じているからこそ、仕事で最善を尽くし、もっと顧客の役に立ちたい、チームを良くしたいと行動します。
やりがいを高めるのは非常に難しい課題です。いくらでも欲しいものがあった高度成長期には金銭的報酬だけで大きくやりがいを高められましたが、物質的には満ち足りている今となってはそれだけでやりがいを高めるのは困難です。
そこでリーダーや人事部に求められるのは、仕事そのものの面白さ、奥深さ、達成感、成長や貢献への実感が得られるようにすること、得られる機会を創出することです。
ある電機メーカーでは、就活生向けの工場案内を、長らく社歴の長い人事担当者が行っていました。しかしそれを、自分の仕事に情熱がもてなかったり、モチベーションの低い若手社員に担当させたところ、彼らが自社の魅力を再認識したり、自分の仕事に対するやりがいを感じたりすることにつながりました。
またやりがいを今だけのことととらえていては不十分です。「この仕事を続けた先に何があるのか」という将来への視点も必要です。自分自身が成長できると実感できれば、今が苦しくても頑張ろうという気持ちになれます。
橋本 竜也
株式会社日本経営 取締役
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