いままで家事なんてやってこなかったから……そんな妻を亡くした夫。1人暮らしに不安を募らせるなか、ひとつ選択肢が「老人ホームへの入居」です。そこで問題になるのが入居費用。マネープランが甘く、周囲に迷惑をかけてしまうことも珍しくはないようです。
79歳「年金月18万円」の父だったが…52歳のひとり娘「わたし、老後破産するかも」と絶望する「老人ホーム請求額」

まさにピンキリ…「老人ホーム費用」の相場

老人ホームにかかる費用は、大きく「入居一時金」と、毎月払う「月額利用料」の2つがあります。

 

入居一時金は、家賃の前払いのようなもので、施設ごとに償却期間が設定されています。一般的に5~15年程度とされていて、償却期間が終わる前にホームを退去する場合、未償却分を返還となります。ただし、たいてい「初期償却」が設定され、その分はクーリングオフ期間が過ぎると即償却となり、その分のお金は戻ってきません。

 

たとえば「入居一時金1,000万円、初期償却20%、償却期間5年」というホームの場合、クーリングオフ期間後にで200万円を償却。1年で160万円、5年で800万円が償却されるということになります。そのため、あらかじめ、入居期間が短いと思われる場合は注意が必要です。

 

月額費用は、施設やその種類によって、含まれている内容はさまざま。一般的に、施設に住むための費用として「家賃」、施設から提供される食事に対する「食費」、施設を維持管理するための費用として「管理費」、施設内で利用する水道や電気代として「水道光熱費」は必ず含まれています。さらに介護を前提とした施設であれば「介護費用」も含まれているでしょう。

 

費用の相場は、一般的に特別養護老人ホームやケアハウスといった公的施設は安く、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅といった民間施設は高い傾向にあります。

 

入居一時金は、ゼロ~数千万円、高級をうたう施設の場合は数億円というケースも。また特別養護老人ホームは、そもそも入居一時金は不用。そのため入居希望者は多く、特に都市部では入居1年待ちということも。月額費用は公的施設であれば5万~15万円、民間施設であれば15~30万円程度。リーズナブルなところでは、公的施設並みの5万円~というところもあるようです。また入居一時金は家賃の前払いという特性上、高く設定されている施設は、その分、月額費用が安い、というケースも。

 

そんな老人ホーム入居のための費用。入居一時金はまとまったお金が必要となるので、貯蓄からどんと支払い、月額費用は年金をベースに足りない分は貯蓄で補填していくというのが一般的。

 

数千万円になる入居一時金は自宅の売却益で……と考える人も多くいますが、想定よりも安くしか売れず、入居を断念するということも珍しくないようです。