強いチームを作るには「チームの状態」を常にチェック
研修や面談など個人(メンバー)の能力を高めたり、動機づけ、またはモチベーションをサポートしたりする施策はすぐに思いついても、チームのパフォーマンスを高める方法といわれるとピンとこないかもしれません。その理由は個人であれば足りないスキルや精神状態が明確に分かりやすいですが、チーム単位となるとそれらが目には見えないからです。
しかしチームのパフォーマンスを向上させようとすれば、そういった「状態」「雰囲気」を常にチェックしなければなりません。「状態」「雰囲気」というと漠然としていますが、チームを水槽に、メンバーを水槽にいる魚に置き換えると分かりやすいかもしれません。
チームで大切なのがメンバーなのと同じく、水槽で魚を飼う場合もちろん一番大事なのは魚です。しかしその魚を水槽内で元気に過ごさせたいなら、水質に気をつけなければなりません。
水質というのは分かりにくいものです。濁ってくれば誰でも悪い状態だと理解できますが、それでは手遅れのことが多く、酸素を送り込み、適宜カルキを抜き、ペーハーやアンモニア濃度などが悪化していないか小まめにチェックすることが必要です。
この水質が「チームの状態」です。見えにくいからといって放置せず、誰かがチェックし、常にきれいになるように働きかけなければなりません。
ところが日本の会社ではこれまでチームを高めていく取り組み、すなわちチームパフォーマンスを向上するための取り組みよりも、“状態の見えやすい”個人のパフォーマンスを向上させることに重きを置いてきました。
■「どんなメンバーでも再現できるマネジメント」であることが重要
なかにはたまたまチームパフォーマンスを向上するためのポイントをわきまえているリーダーもいます。しかしそのようなリーダーでも、科学的に体系化されたチームパフォーマンス向上の理論や方法論を学び、それを適応してきた人となるとごく一握りではないかと思われます。
チームパフォーマンス向上に成功したリーダーでも、ほとんどは個人のモチベーションの向上法など広く知られている知識をチームにうまく適用した結果、たまたまチームパフォーマンスが向上したに過ぎないと考えられます。そういったケースに多いのは、ひとたびチームメンバーが入れ替わってしまうと再現できなくなるということです。
ある部門ではすばらしいリーダーだった人物が、別部門に異動するとたちまちチームをまとめられなくなるということは少なくありません。それはメンバー個人へのマネジメントに依存しているからであり、チームマネジメントを理論的に理解できていないからなのです。