(※写真はイメージです/PIXTA)

一代で財を成した場合、その大切な財産を守っていくためには、本人だけではなく家族の金融リテラシー向上が大切です。ある経営者一族を例に、牧野FP事務所の牧野寿和CFPが解説します。

スーパーで大成功!一代で財を成したCさん

一代で地元の大型スーパーを築き上げた創業者のCさんには、長男のAさん(60歳)と次男のBさん(57歳)の2人の息子がいます。

 

Aさんの幼児期、C夫婦は八百屋を営んでいました。Cさんはこの八百屋を、Aさんが10歳のころにはスーパーマーケットにして、さらに事業を発展させていったそうです。

 

両親で家業に専念していたこともあり、Aさんはかなり甘やかされたといいます。そんなAさん、どうも家業を継ぐ気にはなれず、大学卒業後は都内の中堅メーカーに就職しました。

 

しかし、プライドが高く周りと協調することができなかったAさんは、職を転々とすることに。結局、50歳のころに無職となって、両親の住む実家に戻ってきました。

 

スーパーを継いだ次男のBさん

一方、弟のBさんは、幼いころから両親の仕事に興味を持っていたそうです。大学では経営を学び、卒業後は大手スーパーに勤務。30歳で帰省し、Cさんの会社に就職しました。

 

その後は次期社長として、小売販売だけではなく、独自のブランドの開発や通販、地元企業に食材を配送するといった、多角経営で業績をのばすことに貢献。メインバンクからの助言を受けながら段階的に進めていた事業承継も順調に進み、Bさんは52歳から代表取締役に就任しています。

 

その後、Aさんを心配しながら母が、そのあとを追うように、1年前にはCさんも90歳で逝去されました。

父の遺産で「死ぬまで安泰だな」と楽観的なAさん

相続は、Cさんが残した遺言書の通りに、個人的な財産を兄弟でほぼ2等分しました。

 

Aさんは、アパート1棟(10室)と実家の土地建物、それに1億円の預貯金を、Bさんは、そのほかの不動産や株式、預貯金などを相続。

 

Aさんは「実家をもらえてアパートの収入もある。それに1億円もあれば死ぬまで心配いらないよな」と楽観的でした。

 

しかし、Aさんは「わずか2年」で1億円の遺産をすべて失ってしまいます。いったいなにがあったのでしょうか……。

 

 

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※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。

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