
年の離れた仲よしの姉妹は、ともに独身であることから、数年前、共有名義でおしゃれなマンションを購入しました。これから先、片方に万一のことがあっても、残された方が安心してお気に入りのマンションに住めるよう、確実な手立てがないか考えています。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに、生前対策について解説します。
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仲のいい姉妹、おしゃれなマンションを共同購入
今回の相談者は、年齢がひと回りほど離れている遠藤さん姉妹です。長女の美香さんは70代、二女の香織さんは50代。ふたりは4人きょうだいの長子と末子で、間に長男と二男がいるきょうだい構成です。
美香さんは、仕事や弟たちの世話に追われて多忙だった母親に代わり、妹の香織さんの面倒を見てきました。2人は子ども時代から距離の近い関係だといいます。長男と二男は結婚して子どもがいますが、相談者のふたりは独身です。美香さんは公務員を勤め上げたあと、60代後半まで会計事務所のパート事務員をしていました。香織さんは大手企業で役員秘書をしています。
10年ほど前、実家の近くにおしゃれな分譲マンションが建設された際、美香さんと香織さんは貯金を半分ずつ出し合い、共有名義で購入しました。
駅に近く、商店街や公園もあり、ふたりはマンションにとても満足しています。また、これからもここで仲よく生活していきたいと考えています。
片方に万一のことがあっても、ずっと暮らせるように…
会計事務所のパートを退職した美香さんは、趣味を楽しむなど悠々自適の生活をしていますが、香織さんのほうもそろそろ定年が近づいてきました。そのため、姉妹でこれから先の話をすることも増えてきたといいます。
「どちらが先に亡くなっても、残されたほうが困ったり、ほかのきょうだいと揉めたりすることなく、お気に入りの場所で暮らせるようにしておきたいのです」
美香さんと香織さんは、ほかのきょうだいとの関係も円満です。
「弟たちの家族ともなかよしですし、私たちの生活スタイルも理解してくれています。ですから、私や妹に万一のことがあっても、遺産を要求することはないと思うのですが…。ただ、それでも、念のため文書にしておいたほうが安心かな、と思いまして」
「先のことはだれにもわかりません。残ったほうが大変な思いをしないよう準備したいのです。前に家族で集まったときに話題になって、兄たちも納得してくれました」
2人のお話を聞き、筆者は遺言書作成を提案しました。
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