「自分に万一のことがあったら…」娘連れの再婚男性、早々に遺言書作成を決意した理由【相続のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

小学生の娘を連れて再婚した会社員の男性。後妻との間に息子も生まれ、一見家庭は円満です。しかし、娘と後妻の関係が微妙に変化しているようにも思えて気がかりです。自分に万一のことがあったとき、娘を守りたいと考えています。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに、生前対策について解説します。

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娘を連れて再婚した男性、後妻にも息子が誕生

今回の相談者は、40代会社員の吉崎さんです。3年前に前妻と離婚し、ひとり娘を連れて再婚しました。離婚の原因は前妻の人間関係とのことで、離婚に際しては、双方の親族を巻き込んだ諍いになったとのことです。

 

吉崎さんと前妻は娘の親権を争って激しいやり取りを繰り広げましたが、無事に吉崎さんが親権を得ることができ、離婚問題は決着しました。

 

大切なひとり娘につらい思いをさせたことが申し訳なく、また、子連れ再婚を承諾してくれた、元部下の現在の妻には心から感謝しています。

 

去年の夏には妻との間に男の子が生まれ、家庭も一層にぎやかになりました。娘も弟をかわいがっており、家庭は円満です。現在住んでいる郊外の戸建て住宅は、吉崎さんの両親が生前贈与してくれたものです。

 

「前妻との離婚で娘を転校させることになり、本当にかわいそうなことをしました。ですが、すぐ転校先にもなじんで、友達もたくさんできたようです。いつも明るく振舞って弱音を口にすることもありません。きっと僕や妻に気を使っているのでしょうね…。ただ、弟のことは本当にかわいいようで、いつも妻と一緒になって面倒を見ています」

自分亡きあとの「妻と娘の関係」に不安が…

吉崎さんはまだ40代になったばかりと若いのですが、自分が再婚して家族関係が複雑になったことから、万一の事態を考慮して、事前に対策を立てたいと思うようになりました。

 

「妻は優しく、いつも人に気配りをするタイプです。ですが、息子が生まれてから、娘と妻の間に見えない境界線ができたように感じていて…。それがとても引っかかるのです。もっとも、娘とは義理の関係ですから、致し方ないのかもしれませんが…」

 

吉崎さんは、父親である自分がいる限り、大きなトラブルはないだろうと考えています。しかし、吉崎さんに万一のことがあったら、いまの妻と吉崎さんの娘との関係が悪化する可能性もゼロではないと思うと、不安です。吉崎さんの娘は小学校の高学年で、成人までまだ8年あるのです。

 

吉崎さんの話を聞いた筆者は、遺言書作成をお勧めしました。

 

家庭でイニシアチブを取っている方が亡くなることで、残された家族関係が変化するケースは珍しくありません。万一の場合の無用な争いを防ぐには、遺言で遺産分割を決めておくのが効果的です。

 

一般論ではありますが、義理の親子関係は非常にデリケートです。平穏な家族の歴史を重ねても、決裂するときは決裂してしまいます。また、血縁関係と異なり、一度関係がこじれると、修復は容易ではありません。

 

吉崎さんは、自分がいなくなったあとに、娘といまの妻との共同生活がむずかしくなることも想定し、自宅は売却、預貯金と生命保険は後妻と子どもたち全員で等分に分けるよう、法定割合とは少し異なる記載を行いました。

 

遺言書を執行する際、子どもが未成年だった場合は後見人が必要となるため、吉崎さんの実兄を後見人として指定する旨も記載し、遺言書の作成が完了しました。

 

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株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 
相続対策専門士

京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。

著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

著者紹介

連載相続のプロが解説!人生100年時代「生前対策」のアドバイス事例

本記事は、株式会社夢相続のサイト掲載された事例を転載・再編集したものです。

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