成約データで見る東京都心部のオフィス市場動向(2021年上期)-エリア別・業種別・ビルクラス別に見た「オフィス拡張移転DI」の動向

成約データで見る東京都心部のオフィス市場動向(2021年上期)-エリア別・業種別・ビルクラス別に見た「オフィス拡張移転DI」の動向
(写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、ニッセイ基礎研究所が2021年11月9日に公開したレポートを転載したものです。

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1. オフィス拡張移転DIの低下にいったん歯止め

新型コロナウイルス感染拡大の影響によりオフィス市況は調整局面に入り、不透明感の強い状況が続いている。そこで本稿では、オフィス拡張移転DIをもとに、企業のオフィス移転動向を確認する。オフィス拡張移転DIは三幸エステートとニッセイ基礎研究所がオフィス移転の成約データをもとに共同で作成し、0%から100%の間で変動し、基準となる50%を上回ると企業の拡張意欲が強いことを表し、50%を下回ると縮小意欲が強いことを示す指標である。

 

東京都心部のオフィス拡張移転DIは、オフィス市況が活況であった2019年は70%台で推移していた[図表1]。

 

[図表1]オフィス拡張移転DIと空室率の推移(東京都心部)
[図表1]オフィス拡張移転DIと空室率の推移(東京都心部)

 

2018年以降、新築オフィスビルの大量供給が続いたにもかかわらず、こうした企業の旺盛なオフィス拡張意欲がオフィス床の大量供給を吸収し、空室率は2019年1月に初めて1%を下回り、その後もタイトな需給バランスが継続した。

 

しかし、2020年にコロナ危機が訪れると、オフィス拡張移転DIは2020年第1四半期の69%から2020年第4四半期の51%へと急低下した。空室率についてもその後やや遅れて上昇に転じ、2020年末には2.36%へ上昇した( ボトム対比+1.57%)。

 

2021年第1四半期と第2四半期のオフィス拡張移転DIは53%となり、拡張と縮小が均衡する水準で横ばいに転じた。昨年来の低下にいったん歯止めがかかる一方で、オフィス床解約の影響が大きく空室率の上昇が続いており、9月末時点では4.48%となった(昨年末比+2.12%)。

 

次ページ1. オフィス拡張移転DIのエリア格差が拡大

本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

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