両親と同居していた妹家族。しかし、妹が亡くなり、母が亡くなり、父が高齢者施設に入所したことで、実家は義弟が1人で住むことに。しかし、父の通帳を「しまっておく」といって預かった義弟は、急に高額な買い物を繰り返し…。離れて暮らす姉は義弟を追及できません。どうすればいいのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。
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妹は亡くなり、父も施設入所…実家で独居する義弟
今回の相談者は60代の専業主婦、渡辺さんです。実家の父親の相続について心配事があり、筆者のもとを訪れました。渡辺さんの母親は3年前に亡くなり、父親は半年前から高齢者施設へ入所しています。渡辺さんには妹がいましたが、10年前に病気で亡くなっています。
妹家族は、渡辺さんの実家で両親と同居していました。妹が亡くなったあとも、多忙な義弟は息子と娘ふたりの面倒を見られないため、そのまま同居を継続。その後、子どもたちは就職を機に家を離れていきました。現在は、父親不在の実家で定年退職したばかりの義弟がひとり暮らししています。
渡辺さんは結婚後、ずっと隣県で暮らしています。嫁ぎ先は家業で手広く商売をしており、夫の両親や祖父母とも同居だったため、なかなか実家に行くことができませんでした。そのため、妹家族が両親のそばにいてくれることに感謝していました。
残念ながら、妹は若くして病死してしまいましたが、甥はいずれ実家に戻りたいとの気持ちを話してくれ、渡辺さんも実家の不動産を妹家族のものとすることに異存はありません。
渡辺さんの父親が施設に入所するとき、これまで父親自身が管理していた預貯金や、年金が振り込まれる口座の通帳・カード類を渡辺さんに預けたいといわれました。
しかし渡辺さんの自宅は、実家へも入所先へも遠く、いまも舅姑の介護をしていることから、何かあってもすぐに駆けつけることができません。迷っていると、義弟が「心配ないです、僕が貸金庫に入れておきます。もしお金が必要になったら、立て替えておきますね」と申し出たことから、義弟に通帳類を託したのでした。
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株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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