両親と同居していた妹家族。しかし、妹が亡くなり、母が亡くなり、父が高齢者施設に入所したことで、実家は義弟が1人で住むことに。しかし、父の通帳を「しまっておく」といって預かった義弟は、急に高額な買い物を繰り返し…。離れて暮らす姉は義弟を追及できません。どうすればいいのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。
実家の庭先に止められた、見慣れない新車
父親の財産は、相続評価1000万円の自宅と預金1000万円です。今後父親が病気をしたら、預貯金から治療費を支払うことを想定していました。
ある日、たまたま時間ができたので、渡辺さんは娘の運転で実家を訪れました。すると、庭先に真新しい車が止まっているのが見えました。
「お客様かしら?」
渡辺さんは娘に少し離れた場所に車を止めてもらうと、実家の敷地に足を踏み入れました。
運転席から降りようとしていたのは義弟でした。
「これは…」
「ああ、お義姉さん。前の車が古くなってしまって、この間買い替えたんです」
渡辺さんが母親の仏壇に線香をあげたいと申し出ると、義弟は渋った様子でしたが、半ば強引に家に入ってみると、室内はリフォームされ、壁紙も絨毯も真新しくなっています。
渡辺さんは、父の預貯金が下ろされたのだろうと推測していますが、その場で義弟を追及することができず、悶々としていました。しかし娘から「このままだと、お爺ちゃんになにかあったとき困るかもしれない」と促され、筆者のところに訪れたのでした。
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株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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