「見かけないけど、引っ越したの?」退去手続きしないまま入居者はどこかへ…(※写真はイメージです/PIXTA)

古いアパートを建て直したい家主。住民の立ち退きと、行方不明者への強制執行に際した切実な想いに迫る。 ※本記事はOAG司法書士法人代表・太田垣章子氏の書籍『老後に住める家がない!』(ポプラ社)より一部を抜粋・編集したものです。

有村さんと村山さん、二人は立ち退くが…

同じ頃、有村さん、続いて村山さんがそれぞれの新居に引っ越して行かれました。

 

「井上さんのことを目の当たりにすると、いかに自分が迷惑かけないように準備しなきゃいけないのかってことが分かったよ。部屋貸してくれる家主さんに、迷惑かけられないよね」

 

部屋の立ち退きで文句も言いたいところ、二人は一言も家主を責めることもせず、むしろ転居先を見つけてくれたことに感謝していました。以前にも立ち退きを経験され、高齢者の一人住まいがいかに難しいかを身をもってご存じだからかもしれません。

 

家主だって、絶対に貸したくない訳ではないのです。ただ若い人たちより簡単に解決できない問題が多い分、躊躇してしまうのも仕方がありません。

 

だからこそ借りる側も、精一杯迷惑をかけない心がけが必要ではないのでしょうか。

 

 

※本記事で紹介されている事例はすべて、個人が特定されないよう変更を加えており、名前は仮名となっています。

 

 

太田垣 章子

OAG司法書士法人代表 司法書士

 

 

 

老後に住める家がない!

老後に住める家がない!

太田垣 章子

ポプラ社

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