自立と要介護の介護支援サービスは両立しない
さらに、自立の高齢者と要介護状態の高齢者の双方に対し満足を与える介護支援サービスは、そもそも両立しないという事実も理解しなければなりません。
自立の高齢者は、原則としてホテルライクな生活環境を好みます。ホテルライクな住環境とは、何も建物や設備の豪華なホテルを指しているのではありません。ここでのホテルライクとは、俯瞰的に職員が入居者に対し日々の生活の中で見守りはしているが、けして出しゃばり過ぎないことを言っています。
入居者から具体的なリクエストがあれば、そのリクエストに応えられるよう十分な能力を保有していなければなりませんが、頼まれもしないのに、相手に押し付けるようなお節介はしないということです。
逆に、要介護状態の高齢者の場合は、そもそもリクエストがありません。認知症の高齢者の場合、徘徊から転倒し、骨折の怪我をしていたとしても「痛い」という意思表示ができない場合が多いので、職員には察するスキルが求められます。
「何かおかしい」「いつもと違う」という気づきがないと、要介護状態の高齢者に対応する介護職員は務まりません。そして、それには対象者のプライバシーにかなり踏み込まないと把握できません。要介護状態の高齢者対応の優秀な介護職員は、総じてお節介で、土足でずかずか相手の領域に入り込んでいく図々しさがあります。
小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役
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