「職員配置数」に利用料金は影響される
ホテル選びを例に、老人ホーム選びを考えてみる
老人ホーム選びの手順を考えていきましょう。
まずは、エリアと予算の確認です。不動産物件選びと少し違うところは、同一エリア、同一築年数、同一料金ではないところです。
不動産物件の価格決定プロセスは、地価、つまり土地の価格がベースになっています。次に建設費用です。3番目は、周辺の住環境といったところではないでしょうか。中古物件の場合は、当然築年数が価格に影響を与えます。最近の不動産物件のトレンドは、中古物件をリノベーションにより新築物件のように新しくして販売することがマンションなどを中心に流行っているようです。
不動産物件はこの3つで、おおむね料金は決定します。しかし、老人ホームの場合、不動産物件ほど明確なエリア相場という概念がありません。地価や建設費は、料金を決めるためには重要な要因であることには変わりはありませんが、それ以上に重要な要因が介護支援サービスの内容になります。どのようなサービスを提供するのか、という介護サービスの質と量から算出する「職員配置数」が、利用料金に大きく影響を受けることになります。
これは、どちらかというと、ホテルの料金形態に近いのではと私は思っています。ホテルの場合、同一地域、同一エリアでも、ビジネスホテルとシティホテルやラグジュアリーホテルとは料金がまったく違います。それは、そのホテルで提供されるサービス内容の質が違うからにほかなりません。そして、利用者である宿泊者は、目的の用途や個人の好みにより、どのようなホテルに宿泊するのかを決断しているはずです。
旅行の目的が、観光重視であれば、宿泊施設は寝るだけでよいということになり、宿泊特化型のビジネスホテルで十分です。しかし、たまの旅行なので非日常的な時間を楽しみたいということであれば、多少多めに予算を割いても、高級ホテルに宿泊することを選択する方もいると思います。さらに、せっかく観光地に来たのだから、ご当地料理を堪能したいという人の場合は、料理がウリのホテルや旅館になると思います。