入居前の説明と違う?…老人ホーム引っ越しの意外な落とし穴

もし親を老人ホームに入居させるとして、まず第一歩として何を理解しておけばいいのでしょうか。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が、親を老人ホームに入れようと思った時に「知っておきたい選び方、探し方」を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『親を老人ホームに入れようと思った時に読む本』(海竜社)から一部を抜粋、編集したものです。

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老人ホームは治療をする場所ではない

入居後、かなりの入居者が退去しているという現実

 

老人ホームに入居した入居者の退去理由を、皆さんはご存じでしょうか?

 

退去理由の多くは5つに分けられます。「死亡」「入院」「特養へ引越し」「在宅復帰」「他のホームへ引越し」です。「死亡」や「入院」は、入居者が高齢であることを考えると致し方ないことだとは思いますが、その他の原因は「そもそも論」になります。

 

「特養へ引越し」は、有料老人ホームに入居をした後でも、特養への入居申し込みを継続し、入居可能な状態になった場合、特養へ移るという決断をした場合です。この原因の背景は経済的負担の軽減にあります。もちろん、その他の理由もあると思いますが、圧倒的に経済的な理由によるものと考えています。

 

入居する前にしっかりとした老人ホームに関する予備知識の修得や検討を怠ってはいけないという。(※写真はイメージです/PIXTA)
入居する前にしっかりとした老人ホームに関する予備知識の修得や検討を怠ってはいけないという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

在宅での生活が困難になってしまった。しかし、自宅近くの特養はあいにく満室。しばらくすれば入所できそうなので、その間だけでも有料老人ホームに入居して待機しようというケースです。さらに、特養の場合、重度者の面倒を見るということが国から言われている使命なので、要介護2では入居の許可を得ることができません。民間の老人ホームにとりあえず入居し、要介護4になったら特養に移動するというケースも多くあります。

 

次に、「在宅復帰」という理由の背景です。これは、なかなか腑に落ちない、不思議な理由です。ごくまれに、在宅復帰を支援している老人ホームもありますが、まだまだ少数派です。在宅生活に限界を感じて老人ホームに入居するケースがほとんどなので、ホーム入居後にその状態が劇的に改善するとは考えにくいのです。

 

私の経験で言うと、何でも自分でやっていた自立の高齢者でも、病気やけがで入院、治療が完了した後、入院前より劇的に状態が悪くなってしまい、老人ホームに入居、数カ月間の老人ホームでの生活の中で元の自立した高齢者に戻ったというケースはあります。つまり、一時的に状態が悪化していただけだったというケースです。

 

勘違いがあると困るので、少し解説を加えておきます。このケースの場合、老人ホームに入居をしたことで病気が改善したということではありません。もともと改善する見込みがあったが、改善には時間をかける必要があったので、老人ホームで数カ月間過ごすことで改善されたということなのです。

 

老人ホームは病院とは違い、治療をするような場所ではありません。もし、あるとすれば、原因が精神的なものの場合、介護職員らの献身的な関わりで状態が改善したということだと思いますが、いずれにしても自分の能力で改善したということになります。介護職員は、そのきっかけを作ったとか、動機を作ったとかといったたぐいの関わりでしかありません。

株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

(株)ASFON TRUST NETWORK常務取締役。1965年神奈川県生まれ。日本大学卒業後、不動産開発会社勤務を経て日本シルバーサービスに入社。介護付き有料老人ホーム「桜湯園」で介護職、施設長、施設開発企画業務に従事する。2006年に退職後、同社の元社員らと有料老人ホームのコンサルティング会社ASFONを設立。2010年、有料老人ホーム等の紹介センター大手「みんかい」をグループ化し、入居者ニーズに合った老人ホームの紹介に加えて、首都圏を中心に複数のホームで運営コンサルティングを行っている。老人ホームの現状と課題を知り尽くし、数多くの講演を通じて、施設の真の姿を伝え続けている。

著者紹介

連載親を老人ホームに入れようと思った時に「知っておきたい選び方、探し方」

親を老人ホームに入れようと思った時に読む本

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小嶋 勝利

海竜社

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誰も書かなかった老人ホーム

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小嶋 勝利

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老人ホーム リアルな暮らし

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もはや老人はいらない!

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小嶋 勝利

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