「自助」と「互助」を支援する役割が「共助」
自助、互助、共助、公助を厳格に運営するだけで職員不足は消滅する
心ある人たちは、介護の話をするときに、自助、互助、共助、公助の話をしています。私もこの考えに大賛成です。この4つについての私の考えを記しておきます。
今回は共助、公助について。
共助とは
「共助」です。これは介護保険制度のことを言います。年金や医療保険などと同じで、国民全体で制度を維持していくことを「共助」と言います。「自助」と「互助」を支援する役割が「共助」だと、私は理解しています。
多くの老人ホームの場合、その運営費の多くは介護保険制度に基づく介護保険報酬です。したがって、「共助」によって成り立っています。「共助」は、直接的にはホームとは何ら関係のない多くの日本国民の経済的負担で維持できていると言っても過言ではありません。
つまり、明日は我が身なので他人事だと思わないように、という精神だと思います。この「共助」の上に成り立っている老人ホームは、日本国民のために何をしなければならないのでしょうか?
老人ホームの入居者や家族は、日本国民のために何をしなければならないのか?ということを考えた場合、少なくとも地域の高齢者介護のインフラとして、一定の機能を担わなければならないことは当たり前の話だと思います。
地域の高齢者専用の防災拠点としての機能や、集会場やイベント会場などの機能を持つという「互助」を維持するためにも、「共助」としての介護保険報酬などの報酬額は正しく整備していく必要があるのではないでしょうか。
ここで老人ホーム、とくに介護付き有料老人ホームの介護保険報酬について、少し触れてみたいと思います。老人ホームの介護保険報酬は、要介護状態によって報酬金額が分かれています。これを基本報酬と言います。細かい説明は省きますが、要介護2と認定されている入居者が老人ホームに入居すると、老人ホームは入居者の1割から2割の自己負担額を除いた介護保険報酬を、毎月、国から受け取ることができます。当然、自己負担分は入居者に請求し、入居者が支払います。
介護保険報酬には、基本報酬以外に加算報酬という概念があります。そして、多くの老人ホームでは、この加算報酬を獲得するために日々努力をしています。加算報酬の基本的な考えは、介護サービスの品質の向上を目指す目的で設定されています。介護福祉士という国家資格の取得者が多いとか少ないとか、介護職員の勤続年数が長いとか短い、という数値化しやすい物差しでホームを評価し、該当しているホームに加算報酬を支払っているのです。