老人ホームの売上はいくらになるのか?
まずは、入居金(入居一時金)について
老人ホームへ入居するさいに、入居金、または入居一時金という費用を負担する必要があるホームが多いです。入居金の目的や役割はホームごとにさまざまですが、おおむねその性質は、家賃相当額の前払いということになります。つまり、先に1000万円の費用を前払いすることで、毎月の費用が20万円ですむという具合です。もし、1000万円の前払いがなければ、毎月の費用負担は30万円になるということでもあります。
多くのホームでは、前払いをした入居金は、60カ月で均等償却すると決めています。中には、入居契約時に10%の入居金を初期償却した上で、残りの90%を60 カ月で均等償却していくというホームもあります。たとえば、入居金1000万円、償却期間60カ月、初期償却はないと仮定し場合、毎月の償却分は、1000万円÷60カ月ですから、16万6千円になります。月額の利用料金が仮に20万円だった場合、実際の月額利用料金は20万円+16万円6千円なので、36万6千円になります。つまり、この金額がこのホームの料金ということになります。
次に、月額利用料金ですが、多くのホームでは、家賃、管理費、食費の3つが、この料金に相当します。中には、居室の水道光熱費などが、この料金の中に含まれているケースもあります。
そして、最後に介護保険報酬です。介護付き有料老人ホームの場合、要介護度により、1カ月の介護保険報酬は決まっています。つまり、定額制です。当然、要介護1よりも要介護5のほうが、介護保険報酬は多くなっています。そして、この介護保険報酬の1割から2割に相当する分を、入居者が自己負担するということになっています。仮に、要介護2で、1割の自己負担が義務付けられている入居者が入居した場合、介護保険報酬総額が20万円だとすると、国から老人ホームに18万円が支払われ、入居者が2万円を老人ホームに支払います。
それでは、老人ホームの1カ月の売上はいくらになるのでしょうか? 前出の例で説明すると、36万6千円+20万円なので、56万6千円になります。より細かく言うと、法改正により加算報酬が設けられていますが、論じているとキリがないので、本稿ではこの部分は割愛することにします。